20年前の「苦行」を思い出したのは

 20年前の「苦行」を思い出したのは、福岡市・天神から超満員バスに1時間揺られ、九州大伊都キャンパスを訪れたとき。私が卒業した関西の大学は1、2年時が郊外の丘陵地に造成された新学舎。つらかったのは通学だけでなく、学生生活の味気なさだ。設備は最新。でも周辺に書店も飲食店もなかった。3年になって都心の古い学舎に移り、他大学や地元の人と交流する楽しみもできた。6年前から、文系は4年間とも都心の学舎に通えるよう改めたそうだ。

 学生獲得策で全国的にも大学の都心回帰が相次ぐ中、郊外に移った九大。旧箱崎キャンパスは学徒動員や米軍機墜落など負の歴史もあり、その地で学ぶからこそ感じ取れることがあったろうに。

 設備重視の理系はまだしも、文系は思索を深められる環境が必要では。九大の先生たちに問うと、口々に「私は反対だったんだけどね…」。帰りのバスも超満員で、4台に素通りされた。 (下崎千加)

=2019/01/13付 西日本新聞朝刊=

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