私の妻は台湾で生まれた

 私の妻は台湾で生まれた。9歳のころ、日本人と結婚した母親に連れられて大阪に移り住んだ。彼女の母語はいわゆる中国語(国語)ではない。福建省南部由来の台湾語(〓南(びんなん)語)だ。日本統治時代に生まれた祖母は中国語を解さないまま生涯を終えた。

 台湾は多文化主義の先進地といわれる。オーストロネシア語族の先住民族、後に移住してきた漢人にも〓南語のほか、客家(はっか)語を話す人々がいる。そして国民党政権とともに大陸から逃れてきた「外省人」の言葉が中国語だった。民主化後の台湾ではそれぞれの集団の言語や文化を尊重し、保存する取り組みが進んだ。

 中国の習近平国家主席が「一国二制度」による台湾統一を訴えた。だがチベット族やウイグル族、さらに香港の現状は多文化主義の対極へ向かっているように見える。中台が統一するか否か、それは中台の人々が決めるだろう。ただ、多文化主義の灯が消えないよう強く祈る。 (江藤俊哉)

※〓は「門」に「虫」

=2019/01/17付 西日本新聞朝刊=

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