生まれ育った宮崎市は

 生まれ育った宮崎市は、民放は2局しかなく、高校生まで過ごした自宅近くには書店もなかった。インターネットなど無い時代。あまりの情報過疎ぶりに閉口し、都会や海外へ憧れを抱き続けていた。

 そんな子どもの心を日曜日の朝、刺激してくれる番組があった。「兼高かおる世界の旅」。兼高さんの上品な語り口、男性アナウンサーとの絶妙な掛け合い、優雅な雰囲気のBGM。見知らぬ世界の国や人々の様子に見入ると、その時間だけ、テレビのある6畳の居間は現実から遮断され、夢の世界に浸れた。その兼高さんが先日、亡くなられた。残念だ。

 海外で現地の人と交流し、日本と異なる習慣、文化、思想に触れることの面白さを番組から教わり、旅が趣味となった。ただ、今は大学生と高校生を養う身だ。昔のように簡単には旅に行けない。せめて地元の酒場で外国人観光客を見かけたら、精いっぱいもてなすか。 (安部鉄也)

=2019/01/21付 西日本新聞朝刊=

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