先日、福岡市・天神の格安ラーメン店を昼食で訪れた時の話

 先日、福岡市・天神の格安ラーメン店を昼食で訪れた時の話。食券売り場で代金を用意していたら100円玉1枚が手元からぽろり。どこに転がったか分からない。後ろには長い列。慌てて新たに1枚投入し食券を手に入れたが諦めきれず、近くにいた若い女性店員に事情を告げた。

 カウンター席から様子をうかがうと、身をかがめて床の隅々を捜す彼女の姿が。申し訳ない思いでラーメンをすすっていると、彼女が笑顔で駆け寄り「ありました。券売機の下に」。100円玉を布巾で拭き、そっと私の手のひらに。礼を言って残りをすすると、味が変わった気がした。

 ワンコインでお釣りがくる格安店の手厚いもてなし。言いたいのはむしろ、市井の日常で触れるさりげない善意のありがたみだ。もうすぐ平成は新元号へ。時代は変わっても、そこそこうまい格安ラーメンが格別にうまくなるような、人情に巡り合うときめきを忘れまい。 (木村貴之)

=2019/03/06付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]