孫が暗い顔をしていたら

 9月1日は統計によれば、一年の中でも子どもの自殺者数が突出して多い。学校に行きたくない子どもが追い詰められて死を選ぶのだ。原因はいじめ、教師との関係、親の期待に応えられない自分への絶望-などさまざまだろう。

 私は昨年8月、この欄で子どもたちに向けて「夏休みを延ばしてもいい」という一文を書いた。「死ぬぐらいならずる休みしてもいいんだよ」と呼び掛ける内容だった。

 今年は同じテーマで、孫を持つおじいちゃん、おばあちゃんに向けて書きたい。

 夏休みで息子や娘たちと一緒にやって来た孫が時折暗い表情を見せる。何か悩んでいるようだ。そんな時、どう接したらいいのか。「9月1日の自殺」に早くから警鐘を鳴らしてきた「不登校新聞」の石井志昂(しこう)編集長を訪ね、助言をもらった。石井さんも不登校の経験がある。

 「率直に『どうしたの』と尋ねてください。そして、本人の気持ちを最後まで聞いてください。最後まで」

 途中で打ち切ったり、説教したりするのは禁物。「自分は頑張ってやり抜いた」式の成功体験を持ち出すのも効果はない。子どもの話は繰り返しだったり長くなったりするが、1時間でも2時間でも聞くことに徹するのが肝心だ。

 石井さんは不登校経験者を何百人も取材したが、どん詰まりの状態から抜け出せるかどうかのポイントは「最後まで話を聞いてくれる人に出会ったかどうか」だという。

 「聞いてその痛みに共感する。その共感が伝われば、初めて子どもは救われる」

 「ある意味、アドバイスは要らない。子どもたちは必ず自分なりの答えを出します」

 祖父母の実家が悩める子どもたちの「安全基地」になれば一番いいのだが、実際にはなかなかそうならない。祖父母も共感より「上から目線」になりがちだからであろう。

 子どもたちが最悪の選択をするのを防ぐために、周囲の大人は何ができるか。この夏、おじいちゃん、おばあちゃんも考えてみてほしい。


=2017/08/13付 西日本新聞朝刊=

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