山車、鉾の錺金具修復 ユネスコ遺産支える職人 八女・入部さん 仏壇の技術生かす [福岡県]

日田祇園で新調される山鉾に取り付ける錺金具を製作する入部一臣さん
日田祇園で新調される山鉾に取り付ける錺金具を製作する入部一臣さん
写真を見る

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された「山・鉾(ほこ)・屋台行事」。主役となる山車や鉾などの保存修理に携わり、華やかな祭りを縁の下から支える若手技術者が福岡県八女市にいる。仏壇や寺院の飾りを製造する錺(かざり)金具職人、入部一臣さん(40)。2015年には戸畑祇園大山笠(北九州市)の幟(のぼり)山笠の部品修復を手掛け、現在は日田祇園(大分県日田市)の新調される山鉾を飾る金具づくりに取り組んでいる。

 「たがね」と呼ばれる工具をハンマーで何度もたたくと、厚さ0・5ミリの銅板にボタンや菊の花模様が鮮やかに浮かび上がった。「遠目から見ても分かるようなデザインを意識した。歴史の一つになるので、しっかりしたものにしたい」。作業する手に力が入る。

 祖父から続く「入部錺金具製作所」の3代目。これまでに太宰府天満宮(福岡県太宰府市)のさい銭箱の錺金具を手掛けたこともあり、10年ほど前からみこしなど祭り関連の飾りも作っている。

 昨年2月には、ユネスコ遺産に登録された33団体で構成する全国山・鉾・屋台保存連合会から、九州の金工技術者では初めて「祭屋台等製作修理の保存技術会員」に認定された。戸畑祇園大山笠の修復作業が高く評価され、伝統を受け継ぐ技術者として認められたという。

 国指定伝統的工芸品「八女福島仏壇」で知られた八女地区。生活様式の変化で仏間のない家が増えた影響などから、地域には衰退の波が押し寄せている。そんな中、培った金属加工技術を生かし、ピアスやネックレスといったアクセサリー作りなど新たな分野にも挑戦している。

 「アクセサリーだけで食べていけるわけではないけど、技術を知ってもらうきっかけにはなる。手仕事にしかできないことを大切にしていきたい」

 近く日田市で山鉾への飾り付け作業をする入部さん。手掛けた錺金具で彩られた新しい山鉾は7月の日田祇園で巡行する。

=2017/04/08付 西日本新聞夕刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]