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「海の幸」緞帳、佐賀大で修復 2-3年かけ色鮮やかに [福岡県]

久留米市の保管場所から丸めて運び出された緞帳
久留米市の保管場所から丸めて運び出された緞帳
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佐賀大の校舎に緞帳を運び込む学生たち
佐賀大の校舎に緞帳を運び込む学生たち
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 旧久留米市民会館のステージに飾られていた同市出身の洋画家、青木繁の代表作「海の幸」を再現した緞帳(どんちょう)の一部が、佐賀大で2~3年かけて修復されることになった。12日、青木の遺族に当たる松永洋子さん(73)夫妻や関係者が、久留米市内の保管場所から大学へ運んだ。

 緞帳は、7月に始まった旧市民会館の解体に伴い全て廃棄される予定だったが、保存活用を望んでいた松永さんの意向を知った解体業者の計らいで、青木の恋人だった福田たねがモデルとされる人物の顔の部分を含む一部(縦3・1メートル、幅5・6メートル)が松永さんの手に渡り、久留米市内の事業所に一時保管されていた。

 修復は、美術品の修復を専門とする佐賀大芸術地域デザイン学部の石井美恵准教授(染織品保存修復科学)が手掛け、石井准教授の授業を履修する2年生の奥島希子さん(19)と森田智香子さん(20)も手伝う。まず、緞帳を専用の装置で低酸素状態にしてダニやカビなどを取り除く。その上でクリーニングや切断面の補修を行い、裏地を取り換えて、壁にかけて展示できる形にするという。

 石橋財団が所蔵するタペストリーの修復を手掛けた経験もある石井准教授は、緞帳について「保存状態は全く問題ない。美術品としての価値もある。ほこりを取り除けば、鮮やかな色合いが戻ると思う」と語る。

 12日の運搬には、石井准教授や奥島さん、森田さんも参加。約10人がかりで緞帳を大型のバンに積み込み、佐賀大では、他の学生も応援に駆け付けて修復作業をする4階まで階段で運び上げた。

 修復は、奥島さん、森田さんの卒業制作にしてもらう予定という。2人は学芸員を目指しており、奥島さんは「学生ではなかなか体験できないこと。将来を考える上でも大きなステップになる」、森田さんは「久留米市民の思いが詰まった緞帳なので重圧もあるけど、すごくありがたい」と張り切っている。

 緞帳の最終的な展示場所は未定だが、佐賀大で見届けた松永さんは「これで一段落付いた。青木もきっと喜んでいると思う。(修復後は)一番ふさわしい場所に持って行けるよう考えたい」と語った。

=2017/11/15付 西日本新聞朝刊=

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