休み時間に飲むのは八女茶 全小中学校に給茶機 うがいで健康管理も [福岡県]

休み時間に、階段に座って八女茶を飲む福島小の児童たち
休み時間に、階段に座って八女茶を飲む福島小の児童たち
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福島小の玄関そばに設置された給茶機
福島小の玄関そばに設置された給茶機
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八女市を中心に栽培される「八女茶」。世界的なブランド戦略も進んでいる
八女市を中心に栽培される「八女茶」。世界的なブランド戦略も進んでいる
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 全国に名だたるブランド茶「八女茶」の生産地である八女市が、子どもたちへのユニークな「八女茶教育」に力を入れている。市立の全小中学校に給茶機を設置し、休み時間などに飲むことができる環境を整えているほか、茶でうがいをして健康管理にも役立てている。産地名を冠した農産品をブランドとして保護する国の地理的表示(GI)保護制度に認定され、世界戦略に注目の集まる八女茶だが、足元から「ファン」を育てていく試みにも注目してみた。

 八女市中心部にある福島小。昼休み時間、玄関そばに設置された給茶機の前に児童が長い列をつくっていた。ボタンを押すと20秒ほどかけて紙コップに緑茶が注がれる。冷え込みが厳しくなってきただけに、外で遊んできた子どもたちはそれぞれ温かい八女茶を手に、階段に座って一息ついていた。

 給茶機は冷茶をつくることができ、夏場も人気だ。同小5年の野口竜聖君(11)は「いつも楽しみです。風味があって、香りだけでも八女茶って感じがします」と、食通のように味わいを表現してくれた。

 八女市が小中学校への給茶機の導入を始めたのは2015年。本年度までに全24校で設置が完了した。茶葉はJAふくおか八女茶業部会と県茶商工業協同組合流通部会が一部無償で上質な一番茶を提供し、本年度は計481キロが小中学校に配られた。

 生産地だけに、給茶機の味へのこだわりは強い。それぞれ学校のある地域でつくられた地元産の茶葉を使用。1杯ごとに茶葉を取り換えられる仕組みで、市の担当者らが毎年、品質に応じて湯の温度や抽出時間などの設定を微調整して回っている。「最高の味が出ています」と市の担当者は胸を張る。

 味わうだけではない。品質のやや劣る茶葉も用意、風邪やインフルエンザを予防するため、殺菌や抗菌作用があるカテキンが含まれる緑茶でのうがいも推奨している。

 生産者に好評なのが各学校で定期的に実施している「お茶の入れ方教室」だ。茶のインストラクターが各学校を回り、きゅうすでの茶の入れ方を手取り足取りで教えている。

 ペットボトル茶の浸透などにより、家庭できゅうすを使って茶を飲む習慣が減っている。JAふくおか八女茶業部会の斉藤元・部会長(61)は「おいしい味を子どもの時から記憶にとどめてもらえれば、大人になってからもずっと飲んでもらえる」と期待する。

 地域の誇るブランド品である「八女茶」だが、多くの農産品同様、決して盤石ではない。八女茶の荒茶生産量は年2千トンほどで横ばい状況。栽培農家数は減少傾向に歯止めがかからない。

 福島小の5年生、西江梓さん(11)は日頃から八女茶を飲む機会が増え「八女は田舎だけど、世界に誇る特産品があってうれしい。たくさんの人にこの味を伝えていきたい」と話すまでのファンになった。官民が協力した特色ある取り組みが八女茶の未来を開く一端になると信じたい。

 ◆八女茶 八女市を中心に栽培される日本有数の高級ブランド茶。約600年前に栄林周瑞(えいりんしゅうずい)禅師が中国から茶の種を持ち帰り、八女市黒木町笠原で栽培が始まったとされる。全国茶品評会の玉露の部では八女市が17年連続で産地賞を獲得している。

=2017/11/29付 西日本新聞朝刊=

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