「キャバクラどうですか」歓楽街の客引き、なぜ減らない? 警察といたちごっこ 逃れる手口巧妙化 [福岡県]

夜の文化街。黒っぽい服を着た客引きの男性たちが通りにたむろし、通り掛かる客に声を掛けていた(写真の一部を加工しています)
夜の文化街。黒っぽい服を着た客引きの男性たちが通りにたむろし、通り掛かる客に声を掛けていた(写真の一部を加工しています)
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深夜、客引きの男性たちが立ち去った後にはたばこの吸い殻や空き缶があった
深夜、客引きの男性たちが立ち去った後にはたばこの吸い殻や空き缶があった
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文化街の通り沿いには客引き(立ちんぼ)禁止を呼び掛ける看板が掛かっていた
文化街の通り沿いには客引き(立ちんぼ)禁止を呼び掛ける看板が掛かっていた
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 筑後地区最大の歓楽街「文化街」(久留米市日吉町)。飲食店から風俗店まで数百店が軒を連ね、週末ともなると通りは楽しげな酔客でにぎわう。その中でひときわ目立つのが通りにたたずむ黒色のスーツをまとった客引きの男性たちだ。ここ数年は客引きを禁止する改正県迷惑行為防止条例の施行や、それに伴う取り締まり強化で減ったと言われているが「警察の目をくぐり抜けているだけ」(久留米署)なのが現状という。

 1月下旬の金曜、午後10時半。文化街のメインストリートには約20人の客引きとおぼしき男性たちが立っていた。男性客が通りを歩くとあっという間に寄ってきた。「お店お探しじゃないですか」「キャバクラどうですか」…。中には、数十メートルにわたってしつこく付いてくる人もいた。いずれの行為も県迷惑行為防止条例違反に当たる。

 改正条例が施行されたのは2015年6月。県内の繁華街で酔客にしつこく付きまとい、店で法外な代金を請求するなど、悪質な客引き行為が問題化したためだ。久留米署では改正当初から継続的に、週末などに見回りの署員を文化街の詰め所に配置しているほか、私服警官が客引きの取り締まりを抜き打ちでしている。

 署によると、改正条例が施行された15年には管内の客引き容疑による警告は7カ月で約90件。翌年には「小型無線機を使って警察の目から逃れる動き」(久留米署)など、店舗側の抵抗策も目立ち、署も警告を約1・6倍増やし、取り締まりを強化。そのためか、昨年は警告約20件と激減している。

 しかし、これは数字上の話。顔の分かった警察関係者を見つけると、客引き同士が連絡を取り合い一斉に姿を消すなど、捜査の目をかいくぐる動きは日々巧妙化している。久留米署も客引きに顔を知られていない警察官が抜き打ち捜査を担当し、詰め所にいる警察官も私服にするなど、「いたちごっこ」が続いている。久留米署は「客引きがいる店の中には暴力団と関係がある店があるかもしれない。客引きは立派な迷惑行為。息の長い取り締まりが必要」と力を込める。

   ◇    ◇

 そもそも、なぜ減らないのか。ある客引きの男性は「客引きに出ないと店の売り上げに大きな影響が出る。月に数百万円は違ってくる」と話す。男性によると、文化街にいる客引きは約50人。客引きが条例違反という認識はあっても、グループ客を呼び込まないと営業が成り立たないため、条例違反の危険を冒すという。「中には、違反と知らずに立たされている子もいます」

 客引きが大勢いる現状に苦い顔をする関係者も多い。20年以上、スナックを切り盛りしてきた女性は「声を掛けなくても、通りにたむろしているだけで目立つ」と語り「普通のお客さんは怖いと思う。うちの長年の常連さんも嫌がって、遠回りして来ますよ」とため息をつく。

 近隣住民の男性は「朝になると、通り沿いには客引きの男性たちが残したたばこの吸い殻が散らばり、空き缶が放置されている。街の風紀が乱れる」と憤る。

   ◇    ◇

 文化街の治安維持に力を入れるのは警察だけではない。飲食店の経営者など約70店舗が加盟する「文化街さくら会」では通りのパトロールのほか、勉強会を開き、客引き行為を減らす方法を考えているという。「いかに安全安心な街づくりで多くの世代に足を運んでもらうか。官民で協力していきたい」と事務局の担当者は語る。

 久留米市は2016年、文化街のすぐそばに総事業費178億5千万円をかけて久留米シティプラザを建設した。大型の学術会議などの誘致に力を入れており、その人の流れを夜は文化街に導きたい考えを持っている。市商工観光労働部は「経済的な相乗効果も期待できる。市中心部の活性化のために文化街は欠かせない存在」と位置付ける。

 中心部の“顔”の健全なにぎわいへ模索が続く。

=2018/01/30付 西日本新聞朝刊=

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