久留米市の企業誘致好調 7産業団地は「満席」 交通など立地の良さ要因 [福岡県]

写真を見る
整備が進む「久留米・うきは工業用地」。自動車関連産業などの進出が期待されている
整備が進む「久留米・うきは工業用地」。自動車関連産業などの進出が期待されている
写真を見る
立地協定書にサインするミズホメディーの唐川会長兼社長。久留米の立地の良さなどを強調した=昨年12月
立地協定書にサインするミズホメディーの唐川会長兼社長。久留米の立地の良さなどを強調した=昨年12月
写真を見る
ダイハツ九州久留米工場の概要について説明する斉藤工場長
ダイハツ九州久留米工場の概要について説明する斉藤工場長
写真を見る

 昨年12月、久留米市が企業誘致のために整備した七つの産業団地すべての区画が埋まった。全国の自治体が取り組む企業誘致だが、進出企業が決まらず、塩漬けになっている用地もある中、久留米市は「引く手あまた」(市企業誘致推進課)の好調が続いている。九州の中心にあり、九州高速道のインターチェンジがある立地の良さなどが要因だ。市はさらなる用地整備を目指すが、県内最大の農業地帯であるが故の転用の難しさというジレンマも抱えている。

 「久留米は交通アクセスが良く新規雇用の確保も見込める。重要な生産拠点になる」。昨年12月、藤光産業団地(久留米市藤光町)への進出を発表した佐賀県鳥栖市の医療品製造業「ミズホメディー」の唐川文成会長兼社長(72)は久留米市との進出協定締結式でこう強調した。

 約19億円をかけて2階建ての新工場を整備。来年6月に稼働予定で、久留米市周辺から約30人を新規雇用するという。この進出で、市内7産業団地の立地率は100%となった。

 市企業誘致推進課によると、産業団地の分譲が始まった1995年以降、20年余りで1100人を超える新規雇用が生まれたという。固定資産税や事業所税、法人市民税などの安定的税収を生み出す企業誘致は自治体運営に大きなプラスとなる。産業団地に企業が立地する場合の税金補助や設備投資補助など、市が支出した補助金は2012~16年度の5年間合計で約9億円。一方、進出企業による同期間の市税収入は約34億円で、年平均5億円の黒字を出している計算だ。

 企業が新規立地する上で重視するのは(1)交通利便性(2)自治体の優遇策(3)一定の労働人口を持つ都市規模(4)若い人材を輩出できる高校や大学の存在(5)災害に強い場所-の5点と言われる。

 「人口30万人で、大学・高専のある久留米はすべてを満たしている」と市企業誘致推進課の八山博利課長は胸を張る。

   ◇    ◇

 うなりを上げる重機以外、何もない更地が広がる。久留米、うきは両市にまたがる約33ヘクタールの「久留米・うきは工業用地」(仮称)の予定地だ。久留米、うきは両市が計画し、県の事業として整備が急ピッチで進む。南側の第1期区域は18年度中、北側の第2期区域は19年度中の分譲開始を予定している。

 更地の先には、ダイハツ九州(大分県中津市)の久留米工場がある。軽乗用車のエンジン工場で従業員は現在約430人。現地採用は約400人で、うち久留米市在住者は約200人を占める。2015年夏にはダイハツ工業(大阪)のエンジン開発センター(約160人)も完成。ダイハツ九州の斉藤和彦工場長(61)は「久留米進出は大正解だった」と総括する。

 市によると、ダイハツ関連2施設のそばに整備する新団地には自動車関連企業や食品加工企業の誘致を期待しているという。

   ◇    ◇   

 “ダイハツ効果”もあるのだろう。企業側から久留米への進出に関する問い合わせは過去3年で66件もあったが「用地が足りず断った事例がいくつもある」と八山課長。

 最大の課題が用地確保にあることは明白だ。だが、県内トップの農業産出額を誇る久留米市では「山地以外はすべて優良農地と考えていい」(元市幹部)。農地を産業用地に転用するには法的手続きが多く、用地買収にも時間がかかるため、適した場所は限られているのが現状だ。

 市にとって基幹産業である農業も守っていかないといけない。市としては既存の産業団地の隣接地を活用したりするなど工夫しながら、新たな産業団地の確保を目指していく方針だ。

 情報化が進み、経済を巡る状況が日々刻々と変わる中、これから企業誘致にとって重要になってくるのが「スピード」と言われる。農業と工業のバランスを取りながら、いかに産業団地の用地を確保していくか。1月末に就任した大久保勉新市長の手腕が問われている。

=2018/02/20付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]