柳川和牛肥育のホープ 「神戸牛に負けない」 県肉畜共進会で農林水産大臣賞、江口豊作さん(27) [福岡県]

牛にえさを与える江口豊作さん
牛にえさを与える江口豊作さん
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2016年の枝肉共励会で“初タイトル”となるグランドチャンピオンを獲得した
2016年の枝肉共励会で“初タイトル”となるグランドチャンピオンを獲得した
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牛舎で笑顔を見せる2歳のときの江口さん
牛舎で笑顔を見せる2歳のときの江口さん
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 27歳の「匠(たくみ)」-。やや大げさかもしれないが、これからの福岡の和牛を担うべき逸材であることは間違いない。柳川市有明町で「柳川和牛」を育てる江口豊作さん(27)。昨年10月、県内の畜産農家が競う県肉畜共進会和牛の部での金賞を獲得し、豚や鶏を合わせると最高位の農林水産大臣賞に輝いた。経験が必要とされる和牛肥育。若手生産者の受賞は業界を驚かせた。

 明治大農学部食料環境政策学科で、農業マネジメント論を学んだ“インテリ農家”。代々米を作ってきた父の正博さん(63)が40年ほど前、妻の準子さん(57)と有明海の干拓地で始めた江口農産牧場の2代目。父親も県内トップレベルの生産者の一人だが、金賞と農林水産大臣賞受賞では先を越した。

 繁殖農家が生後約10カ月まで育てた子牛を購入して1~2年間、食用になるまで育てるのが肥育農家。江口さんは「良い子牛に出合えた運と、父や母、先輩方の教えのおかげです」と話す。共進会での受賞は、2016年の県肉用牛生産者の会枝肉共励会でのグランドチャンピオンに続く快挙だった。

 同じ牛舎で朝夕のえさやり、えさ作りなど協力して200頭近い牛を育てる父子だが、子牛はそれぞれ買い付ける。1頭で100万円近い投資。間違いは許されない。

 父は「大ぶりで胴が長い子牛」を選ぶが、本人はセオリーからやや異なる「小さくても牛ぶりのいい子牛」を好む。大会にはそれぞれが購入した子牛をエントリーするため“師匠”である父もライバルなのだ。

 柳川和牛を生産するのは市内の2戸。博多和牛ブランドの一つで、30カ月以上の長期肥育などのこだわりを持つ。江口牧場では、県内のビール工場から出たビールかすを3分の1ほど配合した独自のえさを与えている。「特に、かんだ瞬間の深み、甘みに他の和牛との違いがある」

 生産量が少ない柳川和牛だが、東京の有名料理店数軒から指名でオーダーを受けるようになった。「東京五輪を控え、世界的な知名度がある神戸牛などに負けないブランドに育てたい」と意気込む。近ごろ購入した愛車のナンバーには牛飼いの自負を込めて「290」(肉男)を付けた。

 次の大きな目標は結婚とか。「いい牛を継続して育てている先輩は夫婦仲が抜群。父母のように女性が強いぐらいが適当のようです」。「匠」と呼ぶのはしばし、いい伴侶を得るのを待つとしよう。

=2018/03/03付 西日本新聞朝刊=

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