先駆的取り組み、海外発信 大牟田市動物園の職員 [福岡県]

「海外にも情報発信したい」と意欲を見せる冨澤さん
「海外にも情報発信したい」と意欲を見せる冨澤さん
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2012年にオーストラリア・メルボルンで開かれた国際会議に出席する冨澤さん(手前のテーブル、右から3人目)
2012年にオーストラリア・メルボルンで開かれた国際会議に出席する冨澤さん(手前のテーブル、右から3人目)
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 大牟田市動物園(同市昭和町)に4月、新しい企画広報担当の職員が仲間入りした。米国ミネソタ州に本部がある動物園・水族館関連団体に勤務するなど、国際経験が豊富な冨澤奏子さん(41)だ。日本の動物園や水族館の国際化にも貢献してきた経験を生かし「大牟田市動物園を海外に発信したい」と意気込む。

 専門分野は動物の個体群管理。麻布大獣医学部でダチョウの繁殖行動学を学び、大学院ではスマトラトラを研究した。2005年から3年間、横浜国立大大学院環境情報学府に在籍し博士号を取得。「もっと広い視野で動物の存在を見てみたくて動物園について研究した。論文のテーマは、動物のいない動物園は、どうやって動物園たるべきか、だった」と笑う。

 08年から10年まで米国で生活。ミネソタ州に本部がある動物園水族館関連のNGO団体「Species 360」で力を発揮した。世界中にある動物園のデータを収集する施設で、動物の生年月日、父母、生まれた場所、性別、名前などの個体識別情報(ID)を集め血統登録簿を作成したという。

 「血統登録することで、最適なペアリングを考え、群れの平均的な遺伝子対応度を向上・維持させる。さまざまな遺伝子を持った動物の方が、何か環境の変化が起きた場合に、それに対応できる可能性が高くなるから」

 11年8月からは日本動物園水族館協会(JAZA)と二足のわらじ。JAZAの初代「国際情報担当官」に就任し、さまざまな国際会議に日本代表として出席し、海外と日本のパイプ役としての仕事をしてきたという。

 大牟田市動物園を新天地に選んだ理由を尋ねると「ここだったら新しいことができるに違いないと思ったから」ときっぱり。動物の健康チェックや治療などの際に動物に協力してもらう「ハズバンダリートレーニング(受診動作訓練)」や、動物の満足度を高める「環境エンリッチメント」など先駆的な取り組みを続ける動物園にほれ込んだ。

 「この二つを軸に日本だけではなく、海外の方にも、大牟田の取り組みを見てもらいたい」と、4月から園のフェイスブックやツイッターなどに英語の紹介文も掲載するようにした。「将来的にはホームページも2カ国語で紹介できれば」と意気込む。

 遠方の人が九州旅行の際に「大牟田市動物園にも行ってみたいな」と思ってもらえるような動物園にしたいという冨澤さん。「大牟田市民がどんなことを動物園に求めていて、どんなふうにしたら、市民の満足度向上につながるのかということも考えないといけない」。足元にも気を配る。

=2018/05/20付 西日本新聞朝刊=

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