「悲しい」128年の歴史に幕、福岡のかまぼこ店 全国から惜しむ声 皇室に献上も [福岡県]

「幸せなかまぼこ屋人生でした」と話す3代目の吉開喜代次さん
「幸せなかまぼこ屋人生でした」と話す3代目の吉開喜代次さん
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 みやま市瀬高町下庄の「吉開のかまぼこ」が6月末で閉店し、創業から128年の歴史に幕を下ろす。皇室にも献上されるなど高品質のかまぼことして知られているが、3代目社長で職人でもある吉開喜代次さん(73)が体力面などを考慮して決断した。5月中旬、ホームページや店頭の張り紙で伝えると、全国から閉店を惜しむ多くの手紙やメールが寄せられている。吉開さんは「18歳からかまぼこ一筋。幸せなかまぼこ屋人生でした」と話している。

 1890(明治23)年に祖父が鮮魚店を開き、ほどなくかまぼこの製造を始めた。すり身は主流のスケトウダラではなく、高級原料とされるエソを主に使用。昔ながらの製法にこだわり、35年ほど前からは「自分で食べたいと思えないものをお客さんに出したくない」と、化学調味料や添加物の使用をやめた。

 添加物を入れないと身が固まりにくく、高い製造技術が必要だ。蓄積してきた天候や温度、湿度のデータと、魚を捕った時期、海域による肉質の違いを考慮しながら、すり身の練り方や塩を入れるタイミング、熟成時間を管理。「魚そのものを食べているような味」と評判の逸品を作り続けてきた。

 1969年には2代目の父喜市さん(故人)が現在の皇太子さまの端午の節句にかまぼこを献上。また、かまぼこでの6回の農林水産大臣賞受賞は全国最多という。

 かつては結婚式の祝い品などとして幅広い年代に親しまれたかまぼこだが、食の多様化や若者の魚離れで売り上げも減少傾向。毎朝7時半から工場に入るが、後継者はおらず、近年は腰痛にも苦しむ。「続けられても1、2年。それならまだ元気なうちにやめて、できていない妻孝行でもしようと考えた」

 「アレルギーがある子どもが唯一食べられるかまぼこでした」「もうすぐあの味がなくなると思うと悲しい」「これから何をお歳暮に贈ったらいいのか」-。多くの手紙やメールが届いている。「閉店をこんなに惜しんでいただけるとは思っていなかった。これ以上ない幸せ者です」

 かまぼこ作りは6月下旬が最後。商品がなくなった時点で店を閉じる。営業時間は午前8時~午後7時。木曜定休。0944(63)8111。

=2018/05/29付 西日本新聞朝刊=

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