特産枝豆かたどる新作 ガラス工芸作家、豪雨被災者を元気づけたい [福岡県]

大刀洗町のふるさと納税返礼品に加わった自作の「枝豆箸置き」を手にする長野留美さん
大刀洗町のふるさと納税返礼品に加わった自作の「枝豆箸置き」を手にする長野留美さん
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浸水した畑には、夫の進さん(左)が手掛けた水菜が青々と茂り始めた
浸水した畑には、夫の進さん(左)が手掛けた水菜が青々と茂り始めた
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 大刀洗町に暮らす長野留美さん(42)は婚家の農業を手伝う傍ら、ガラス工芸作家として創作に励む。

 7月の豪雨時には農地約64アールが浸水し、枝豆やネギ、水菜などの農作物に被害が出た。「家族全員落ち込んだ。でも、もっと被害の大きい農家もいる。何か元気づけることをしたい」。そう思い、ガラス工芸の新作「枝豆箸置き」を町のふるさと納税の返礼品に提案し、採用された。モチーフは町特産の枝豆だ。

 緩やかな曲線のさやに、色とりどりの豆の粒が並ぶ。色ガラスを組み合わせて焼き上げるフュージング技法で作った。「緑色だけでなく、いろんな色があった方がかわいくて楽しいと思った。大刀洗の枝豆の魅力も伝われば」とほほ笑む。

 大分県日田市出身。大分市の県立芸術文化短大でデザインを学んだ。卒業後は印刷会社などで働き、農業とは縁がなかったが、30歳のとき、大刀洗町で代々農業を営む夫の進さん(41)と結婚。慣れない農作業や子育てに励む中、ガラス工芸を始めた。6年前のことだ。

 原点は20代の頃の思いにある。就職先として、ガラス工房も候補の一つだった。「でも体力勝負だから男性でないと無理と言われて」。以来ずっと、何かを作りたいとの思いがくすぶり続けていたという。

 自宅でも制作可能なフュージング技法を知り、創作熱が再燃した。「朝、電気窯のスイッチを入れ、日中は畑で汗を流し、帰ったら焼き上がっている。生活のリズムに合っている」。焼成温度、ガラス材質の違いによっても仕上がりが異なる。切れ端も作品に取り込め、無駄がない。「計算しきれない模様や形が作品に出る。日々勉強です」

 7月の豪雨は農作業に、作品作りにと充実した暮らしのさなかに起きた。昨年の九州豪雨でも一部の農地が水に漬かった。「なすすべなく見ているしかない。落ち込む夫に声も掛けられなかった」。水が引いた後、家族と従業員総出で片付けた。今月、ネギが全滅した後のビニールハウスに植え付けた水菜が出荷できる大きさに育った。「ここは本当に豊かな土壌なんです」。この町に根を張り、新鮮な野菜ときらめくガラスを生み出してゆく。

    *   *    

 日田市花月のギャラリー「猫のうたたねぎゃらりぃ縁」で9月末まで個展を開催中。同ギャラリー=0973(24)9002。

=2018/08/26付 西日本新聞朝刊=

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