自動運転の電動車いす開発 久留米工業大教授の東大輔さん 未来の乗り物を先端技術で [福岡県]

自動運転システムを搭載した電動車いすに乗る東大輔教授
自動運転システムを搭載した電動車いすに乗る東大輔教授
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来春完成予定の先端交通・航空宇宙コースの実習棟。2機のセスナ機を導入する
来春完成予定の先端交通・航空宇宙コースの実習棟。2機のセスナ機を導入する
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 久留米工業大(久留米市上津町)で、自動運転システムを搭載した電動車いすを企業と共同開発し、実用化に向けて改良を進める。端末に話し掛けるだけで目的地まで運び、対話を通して行き先の相談にも乗る次世代の乗り物だ。「単なる移動手段ではなく、パートナーのような乗り物にしたい」と目標を語る。

 愛知県出身。航空宇宙工学が専門で、名古屋大大学院では離着陸時に安全性を高める翼を研究した。「より身近で、多くの人が触れる製品に関わりたい」と2003年4月、三菱自動車に入社。車体周りの空気の流れを解析し、燃費性能や走行安定性を高めるデザイン開発に携わり、同社を代表するスポーツカー「ランサーエボリューション」やレース車両を担当した。

 07年4月に公募で久留米工業大に採用され、研究者・教育者の道に。「エンジニアとして人の命に関わっているという責任感や心構えは三菱でたたき込まれた」と言い、経験は技術者倫理の指導でも生きている。

 15年、自動運転や人工知能(AI)を活用して乗り物の未来を探る「インテリジェント・モビリティ研究所」を立ち上げた。学生たちの「乗り物離れ」に直面したこともあり、学生が興味を覚える先端技術と未来志向を念頭に置いた。

 自動運転の電動車いす開発は、久留米市内の介護関係者との交流がきっかけ。「高齢者や障害のある人が自由に移動できるようになれば、能力を生かして社会参画でき、介助する側の負担軽減にもなる」

 衛星利用測位システムと車いすに備え付けたカメラの画像などを組み合わせて現在地を確認し、自動走行を始める。カメラ画像からAIが障害物を検知して回避したり、対話を通して利用者の好みに応じて行き先や最適なルートを提案したりできる。

 昨夏から実証実験を始め、商店街や病院などで試し改良を進める。「さまざまな企業から声が掛かり、3~5年後の実用化も見えてきた。大学の研究で終わらせたくない」と思いを語る。

 学科長を務める交通機械工学科に今春「先端交通・航空宇宙コース」が新設された。旅客機・貨物機の運航増で、航空分野の技術者、整備士不足が予想され、航空業界の期待も大きい。軽飛行機2機を備える実習棟は来春、完成予定。「筑後地区に工業系の大学はここだけ。実社会のニーズに応じた実践的な教育も提供していきたい」

=2018/09/09付 西日本新聞朝刊=

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