キックボクサーから転身 農園で奮闘する女性 26歳で訪れた転機 [福岡県]

オープンしたカフェで自慢の果物を使ったスイーツを前にほほ笑む中村さん
オープンしたカフェで自慢の果物を使ったスイーツを前にほほ笑む中村さん
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冬に向けイチゴの世話をする中村さん。年間を通して収穫できる観光農園を目指す
冬に向けイチゴの世話をする中村さん。年間を通して収穫できる観光農園を目指す
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 プロのキックボクサーから農園主に転身した女性がいる。中村美紗さん(30)は昨年春、東京から帰郷し、父とともに久留米市藤山町に観光農園「フルトリエ」をオープン、代表になった。約2・3ヘクタールの農地でナシのほかブドウとイチゴを栽培、年間を通して果物狩りができる。取れたての果物を提供するカフェも開店し、直接消費者と関わる新たな経営を模索している。

 「普段、消費者が口にする果物の多くは収穫から時間がたったもの。適した時期に収穫した果物を、その日に食べてもらうのが一番おいしいんです」と力を込める。

 100年続くナシ農家に生まれ、兄と妹の3人きょうだいで育った。八女工高を卒業後、愛知県の自動車部品メーカーに就職。趣味で始めたキックボクシングで頭角を現し、23歳でプロデビューした。だが、練習中のけがで頸椎(けいつい)を痛め現役を引退。その後はトレーナーの傍ら、マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟の大会運営などに携わった。

 現役復帰を目指していたが、26歳で転機が訪れた。祖父が認知症を発症し農作業が無理になった。「もともと魅力を感じていて、興味もあった」と農家の4代目として跡を継ぐことを決意。日本農業経営大学校(東京)で2年間農業の基礎やマネジメントについて学び、帰郷した2017年から経営方針を転換。ナシ以外の果物も植えて観光農園化した。敷地内に直売所も設けた。

 ナシの皮をむいて食べる家庭は年々減っており、消費者は年齢層が高くなっているという。「自分で収穫すれば、自然と食べたい気持ちになるんじゃないかなと思ったんです」。子どもたちに果物狩りの楽しさ覚えていてもらい、将来の消費者になってもらうことも期待する。

 2年目の今年は県外からの客も増えた。「また来たいって子どもが楽しみにしてたんですよ」と言って再び訪れた親子連れもいた。300組近い利用者を受け入れた日もあったという。

 また、食事や果物がすぐに食べられる場所がほしいという声に応え、今月4日に直売所の隣にカフェをオープンした。農園で取れた果物をメインに、地元産食材を使ったスイーツなどを提供。近くランチも始める予定だ。

 現在は季節によって果物がない時期がある。「今後はかんきつ類なども取り入れ、年間を通して『あそこに行けば何かある』と言ってもらえるような場所にしたい」と次の挑戦を見据える。

=2018/10/21付 西日本新聞朝刊=

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