「かしまの一本松」盆栽で再現 昨年末伐採、福島復興の象徴 久留米の西定技研が南相馬市に寄贈 [福岡県]

南相馬市の門馬市長(右)に盆栽を手渡す五賀さん(五賀和雄さん提供)
南相馬市の門馬市長(右)に盆栽を手渡す五賀さん(五賀和雄さん提供)
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伐採された一本松から作られた表札を手にする岸社長(左)と北村さん
伐採された一本松から作られた表札を手にする岸社長(左)と北村さん
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 枯れ木や倒木を使った工芸盆栽を製造、販売している久留米市城島町江島の「西定技研」が、東日本大震災で被災した福島県南相馬市の「かしまの一本松」を模した盆栽を南相馬市へ贈った。一本松が昨年末に伐採されたことを知った岸幹夫社長(76)と従業員が「盆栽技術を生かして、市民や被災者を癒やしたい」と寄贈を申し出た。

 2011年の東日本大震災の津波に耐えた「一本松」は岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」が有名だが、南相馬市鹿島区にも高さ約25メートルのクロマツがあり、復興のシンボルとして親しまれた。地元有志による「かしまの一本松を守る会」を中心に保存運動が湧き起こったが、樹勢の衰えや周辺の防風林整備に伴い、昨年12月に伐採された。

 一本松の伐採を報道で知った岸社長は福岡、福島の両県庁を通じ、守る会の五賀和雄会長(77)に寄贈を提案。一本松の写真を基に、およそ8カ月間かけて大きさの異なる三つの盆栽(45~90センチ)を製作した。盆栽の素材には福岡市や新宮町の玄界灘沿いのクロマツを採用。緑の葉は樹脂を加工した。

 9月19日、南相馬市役所で寄贈式があり、遠方のため参加できない岸社長から盆栽を預かった五賀さんが、門馬和夫市長に手渡した。二つは市役所本庁舎と鹿島区役所の1階ロビーにそれぞれ展示され、残る一つは守る会に贈られた。五賀さんは「見事な出来栄え。一本松の姿を永遠に残してもらった」と喜んだ。

 岸社長は「喜んでもらってほっとしている。南相馬の皆さんが盆栽を見て少しでも元気を出してもらえたらうれしい」。製作に携わった従業員の北村豊さん(71)は「枝の具合を本物に近づけようと心を砕いた」と振り返る。

 伐採された一本松は、守る会が地元住民の表札に加工する取り組みを進めており、岸社長の元にも従業員を含む5人分の表札が返礼として届いた。

=2018/11/07付 西日本新聞朝刊=

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