大牟田市庁舎本館解体へ 空襲焼け残った国文化財 多額の維持費重荷 保存派は反発 [福岡県]

1965年夏の三池工の甲子園優勝パレードを見ようと、市庁舎は人波であふれた(「年表と写真で見る大牟田市の100年」より)
1965年夏の三池工の甲子園優勝パレードを見ようと、市庁舎は人波であふれた(「年表と写真で見る大牟田市の100年」より)
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福岡県大牟田市の中心部に立つ市庁舎本館=5日
福岡県大牟田市の中心部に立つ市庁舎本館=5日
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 福岡県大牟田市は5日、国登録有形文化財の市庁舎本館を解体し新庁舎を建設する方針を発表した。1936年完成の本館は老朽化で耐震性が低く「維持や改修に多額の費用が見込まれる」と判断した。

 文化庁によると、登録有形文化財になったコンクリート造りの官公庁舎解体は異例。地元市民団体は「大牟田空襲で焼け残った本館は市民の歴史とともに歩み、景観的にも市のシンボル」と改修した上で保存するよう求めている。

 市庁舎は新館や北別館、南別館など隣接する複数棟に分かれる。本館は正面に位置し、中央に塔屋がある左右対称の造り。内部に彫刻が施された議場もあり、建築史家の評価は高い。屋上には戦時中の防空監視哨が残る。ただバリアフリー対策は不十分で、診断の結果、耐震性は基準に達していないと指摘されていた。

 登録有形文化財は昨年11月現在、全国で約1万2千件あり、届け出れば改修や解体もできる。文化庁によると、解体などで登録が抹消された建造物は190件だが、民間物件が多く、コンクリート造りの官公庁舎が壊された例は旧加納町役場庁舎(岐阜市)しか確認できないという。

 市民団体の新谷肇一会長は「北九州市が旧戸畑市庁舎を図書館に改修するなど、他自治体が歴史的建物の保存と活用に努めているのに信じられない」と反発、署名活動を計画する。

 市の方針によると、今後は本館などを解体し、跡地に新庁舎を建設する。耐震性を満たした北別館や南別館、保健所は改修し継続使用する。2023年度着工で、25年度に一部運用を開始し、事業完了は28年度を予定。総事業費は概算で82億3千万円。

=2019/02/06付 西日本新聞朝刊=

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