「退院ルール」病院とケアマネ連携 久留米市で本格運用 要介護高齢者の在宅移行支援 [福岡県]

退院調整ルールについて話し合う久留米市在宅医療・介護連携推進協議会の専門部会(久留米市提供)
退院調整ルールについて話し合う久留米市在宅医療・介護連携推進協議会の専門部会(久留米市提供)
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久留米市が作った「久留米版退院調整ルールの手引き」
久留米市が作った「久留米版退院調整ルールの手引き」
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 久留米市は、介護を必要とする高齢者が入院治療を受けた後、日常生活にスムーズに戻れるよう介護と医療の関係機関が協力する「久留米版退院調整ルール」をまとめ、本年度から本格運用を始めた。介護保険サービスの内容を策定する介護支援専門員(ケアマネジャー)と、入院先の医療機関が連携して退院後すぐに必要なケアを受けられるよう調整する仕組み。市によると取り組みは県内初という。

 介護保険の対象者は原則65歳以上の要介護認定を受けた人で、在宅の場合、訪問介護、通所介護などのサービスを利用できる。必要な介護計画(ケアプラン)はサービスを受ける人の健康や生活を把握し、家族などとも相談しながら担当のケアマネジャーが作成する。

 市によると、これまで介護保険利用者が病気やけがで入院する際、本人や家族、医療機関からケアマネに連絡がないケースが少なくなかった。退院後に本人の要介護度が進み、ホームヘルパーの介助や福祉用具の提供などの新たな介護サービスが必要となったにもかかわらずケアマネが把握できず、それらの提供が遅れた結果、再入院につながるケースもあったという。

 市は2016年、医療と介護関係者を集めた在宅医療・介護連携推進協議会で調整ルール策定のための専門部会を設け、17年4月から試行運用を開始。昨年3月には周知を図るため手引きを作成した。

 ルールでは介護保険利用者が入院した場合、医療機関がケアマネに入院期間の見通しを連絡。ケアマネは利用者の身体機能の状態や生活実態などを医療機関に伝え、互いに情報共有する。

 退院が近づいた段階で、ケアマネも交えたカンファレンス(医師同士が意見交換する合同ミーティング)を開き、病状や日常生活の課題を共有、必要があればケアプランを見直して退院日に備える。

 退院後、新たに介護保険サービスが必要となった高齢者の場合は、患者や家族に要介護認定の申請を促し、ケアマネ選定の支援を医療機関に求めている。

 市によると、医療機関とケアマネの連携調査(16年8月)で、ケアマネへの情報提供がなかった調整漏れ率は、入院時43・4%、退院時22・1%。ルールを策定したことで昨年4月の調整漏れ率は入院時25・5%、退院時14・8%に改善したという。

 ルールの運用状況を確認した昨年8月の協議会では、出席者から「在宅時の状況が分かり、病院での支援で参考になる」と評価する声や「健康保険証や介護保険証、ケアマネの名刺をセットで持っている患者が少ない」といった課題も指摘された。市は調整の手引きを医療機関や介護事業所に配布。協議会での議論を踏まえて今後、運用ルールの改善やさらなる周知を図る方針だ。

=2019/02/16付 西日本新聞朝刊=

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