古アパートを共有空間に リノベーションで街づくり [福岡県]

「地域ごとリノベーションする気持ちで街の魅力を高めたい」と話す半田啓祐さん(右)と満さん
「地域ごとリノベーションする気持ちで街の魅力を高めたい」と話す半田啓祐さん(右)と満さん
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半田ビルでは年に数回、マルシェを開いている
半田ビルでは年に数回、マルシェを開いている
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 築36年の3階建てアパート「半田ビル」(久留米市東櫛原町)に、子どもたちの元気な声が響く。1階の一室をレンタルスペース「くしわらCOMMON」として住民に開放。敷地内の空き地では、住民がバーベキューやそうめん流しに興じる。年に数回、出店者を募ってマルシェも開く。

 「アパートに注目し、地域に目を向けてもらうきっかけになれば」。アパートを管理する不動産会社「H&A brothers」を営む半田啓祐さん(40)、満さん(39)兄弟は声をそろえる。

 2人は2014年12月、「街のコモンスペース(共有空間)にしよう」とくしわらCOMMONを開設した。週末に間借り営業するカレー店が人気を呼び、市外からもアパートを訪れる人が増えてきた。

 久留米市出身。啓祐さんは福岡市の大学卒業後、東京の飲食店に勤めていたが、03年、福岡市の不動産会社に転職。06年に帰郷し、家業のアパート経営に携わるようになった。満さんは東京の大学院で建築学を学び、1級建築士の資格を得た。家業を手伝いながら東京と久留米を行き来していたが、11年に帰郷。早速、兄弟で古いアパートの“改革”に乗り出した。

 当時、アパートは老朽化のため壁の傷みが激しく、空室が増えていた。結果、家賃を下げざるを得ないので質も下がるという「負の連鎖」に陥っていた。

 畳敷きをフローリングの床に替え、外壁を塗装するなど手を入れた。入居予定者に部屋の壁を好きな色に塗ってもらうDIY(日曜大工)を試みたところ「住人同士の顔合わせの機会となり、アパート全体の雰囲気も良くなりました」と啓祐さん。

 2人は、同市江戸屋敷1丁目の住宅団地「コーポ江戸屋敷」(3棟48戸)の再生も手掛ける。高度経済成長期前後に建てられた団地は老朽化が進み、再生は社会問題となっている。入居者の希望に合わせて改装し、店舗として使える部屋に変えるなどの取り組みが注目を集める。久留米へのUターン、Iターンの手助けや、行政などと連携した空き店舗ツアーにも力を入れる。

 「アパートも、街もお金をかけなくても価値は上げられる。街のリノベーションにつなげたい」と満さん。古い建物の再生を足掛かりに、久留米の新しい街づくりを見据える。

=2019/02/17付 西日本新聞朝刊=

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