「異次元のキレ」ひょっとこ踊り、10歳の達人 投げキッスのオリジナル技も [福岡県]

日向ひょっとこ夏祭りでキッズ部門3冠を達成した山下葵生君
日向ひょっとこ夏祭りでキッズ部門3冠を達成した山下葵生君
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柳川市内の夏祭りでもコミカルな動きで笑顔を誘った(2015年)
柳川市内の夏祭りでもコミカルな動きで笑顔を誘った(2015年)
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 宮崎県日向市発祥の「ひょっとこ踊り」。テンテコテン、テンテコテンの伴奏で、首を振り、腰をくねくねさせるユーモラスな動きで知られるこの伝統芸能に、10歳にして「達人」と呼ばれる小学生がいる。みやま市の桜舞館小4年山下葵生(あおい)君(10)。九州、いや全国でも、その名を知らぬ愛好者はいないという「ひょっとこ界の天才」。将棋で例えるなら、最年少プロの藤井聡太七段(16)のような存在だ。

 山下君は昨年8月、2日間で7万人超の観客を集める「日向ひょっとこ夏祭り」のキッズ部門で「3冠」を達成した。2016年の「きつねの部」を皮切りに、17年に「ひょっとこの部」、そして18年は「おかめの部」を制覇。今夏からは満を持して一般の部にエントリーを予定し、すでに優勝候補の一角として名が挙がる。

 「若き達人」の師匠で、17年の一般ひょっとこの部で準優勝した「日向ひょっとこ踊りちっご愛好会」の諸冨一光代表(74)は言う。「キッズでは敵なしの強さで、もう私より力は上。大人の柔らかさ、踊りこなした味はまだ出せないが、異次元のキレがそれをしのぐ」

 山下君がひょっとこ踊りと巡り合ったのは3歳の誕生日の前日。伯母の結婚式での余興だった。「お面が怖かったけど、動きがすごく面白かった」。翌日から式を撮影したDVDの余興部分だけを何度も再生。しばらくすると動画投稿サイトを見て独学で踊り始めた。4歳で愛好会の門をたたいた時には基本の動きは習得済み。諸冨代表を「天才が現れた」と驚かせた。

 愛好会で出るイベントでは、主催者から指名で参加を要請されることもしばしばの売れっ子だ。「踊りを見てくれる人にニコニコしてほしい。みんなが笑顔になるとうれしくなる」。だから、笑いが起きるような動きの研究も怠らない。骨盤の動きを止めての「股間上げ」や「コマネチ」「投げキッス」など、基本動作に加える大小のオリジナル技も持つ。小学校でも自然と笑顔の輪の中心にいる。

 夢がある。ひょっとこ踊りをベースに阿波おどりなどの伝統芸能を融合させたエンターテイナーになることだ。「ずっと昔からカメラマンなどテレビ局で働きたいと思っていた。でも今は番組をつくる人じゃなくて、番組に出る人になりたい」

 口達者で芸達者。目指す場所へ、10歳にして一歩も二歩も踏み出している。

=2019/03/11付 西日本新聞朝刊=

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