広がれ「男の介護教室」 久留米市に学びと交流の場 写真家の宝肖さん 東京から通い活動 [福岡県]

「男の介護教室」を主宰する宝肖和美さん。ファインダー越しに参加者を見守る
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楽に体を起こすことができて驚いた様子の男性陣(宝肖さん撮影)
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 「奥さんを介護する自信はありますか?」-。久留米市出身の写真家宝肖(ほうしょう)和美さん(46)=東京都=は問い掛ける。1年前から久留米市で「男の介護教室」を主宰。介護分野などの専門家を招いて、ケアの手法はもちろん、家事の全てを妻に任せてきた男性陣の“居場所づくり”も目指す。「男性介護者の輪が故郷で広がれば」。そんな期待も胸に抱く。

 「『かわいいね~』と声を掛けると、楽に体を起こすことができますよ」。2月10日、久留米市長門石1丁目の市総合福祉会館。気功法や呼吸法が専門の女性講師が横たわった男性で実践すると、見入っていた男性陣から「お~」と感嘆の声が上がった。「脳が喜ぶ一瞬の隙に持ち上げるのがコツなんです」

 この日の教室には17人が参加。このうち、男性(76)は3年前、妻(76)がアルツハイマー型認知症と診断された。現役時代、一切の家事を妻に頼り切っていたが、日に日に症状が加速する妻の姿を目の当たりにし、家事や介護のスキルを高める必要性を実感した。「教室では料理も学べる。でも何より、悩んだときに相談できる仲間が増えたのが大きな財産です」

   ◇    ◇

 宝肖さんは耳納山麓の裾野に広がる久留米市山本町出身。南筑高卒業後、写真家を志し、都内のスタジオに入った。妊婦や生後間もない赤ちゃん、成長した子どもたちを撮影する中で「生きること」「感謝」がテーマになったという。

 「男の介護」に興味を抱いたのは2016年、東北地方で教室を主宰する歯科医師と知り合ったことがきっかけ。仕事一筋で家事や介護の経験が乏しいほか、地域との付き合いがなく孤立し、精神的に追い詰められる…。衝撃を覚えた。実家がある山本町の高齢化率は市平均の26・6%を上回る38・0%(2月1日現在)。「年々投薬が増え、病院通いが日課となった両親が頭をよぎった」こともあり、故郷で教室を開くことを決意した。

 昨年3月に初開催。以来3カ月に1度、都内の住まいと実家を行き来する。教室では専門家に講師を任せて、専らシャッターを切り続ける。「最初は不安げですが、徐々に生き生きとした表情に変わっていくんです」。活動紹介を目的に、会員制交流サイト(SNS)に写真をアップする。

 総務省の社会生活基本調査(2016年)によると、65歳以上の家族を自宅で介護する男性は全国で約144万5千人に上る。宝肖さんは「介護のイロハだけでなく、悩みを語り合うコミュニティーをあちこちに築きたい」と意気込む。

 次回は4月28日午前10時から、久留米市山本町の山本校区コミュニティセンターで。

=2019/03/15付 西日本新聞朝刊=

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