画業70年たどる個展 久留米の久保田済美さん 市美術館で開幕 [福岡県]

油彩画「かぼちゃいろいろ」と並ぶ久保田済美さん
油彩画「かぼちゃいろいろ」と並ぶ久保田済美さん
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 久留米市東合川町の画家久保田済美(せいび)さん(84)の画業70年を振り返る個展「画業70年の軌跡展」が19日、同市野中町の市美術館で開幕した。入場無料。24日まで。

 「今やらなくては命が尽きる。そう思って企画しました」と久保田さん。うららかな陽光に満ちた油彩の「筑後川風景」シリーズをはじめ、禅宗の書画「円相」に材を取った水彩の「ゆれるわ」シリーズ、交響曲の響きを写した抽象画など約120点を展示。多彩な画題に挑んだ足跡をたどることができる。

 久保田さんは久留米市生まれ。幼少期に画家を志し、明善高美術部に籍を置いた。「競い合ってデッサンを描いた。あんなに活発な美術部はどこにもない」と懐かしむ。佐賀大特設美術科で学び、故郷で創作に打ち込んだ。「知識層など美術に理解がある人が多かった。良い時代に画家をさせてもらった」。1985年には久留米連合文化会功労賞を受賞。東京でも十数回の個展を開いた。西部水彩画協会会長も務めた。

 「胸を打たれる稲光、色づくハゼ並木。季節に刺激されて絵を描く」という久保田さん。朝倉市などで大きな被害が出た2年前の九州豪雨には衝撃を受けた。「魔物が暴れるような大雨だった」。水彩画「ASAKURA」は、この時の印象を基に絵筆の勢いに任せて描き上げた連作だ。

 妻の幸子さん(84)は3年前、脳梗塞に倒れた。今は施設で療養中だが、会期中会場を訪れる予定だ。

 「嫁御(よめご)が19歳のときのスケッチも飾っている。喜んでくれるかな」。そう言って、はにかんだ。

=2019/03/20付 西日本新聞朝刊=

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