電子黒板、デジタル教科書…ICT教育どう生かす 各学校の活動に温度差 飯塚市 [福岡県]

電子黒板とデジタル教科書を使って授業する庄内中の松本宗太教諭。パソコンを使って教科書を拡大し、重要なポイントに赤線を引いていた
電子黒板とデジタル教科書を使って授業する庄内中の松本宗太教諭。パソコンを使って教科書を拡大し、重要なポイントに赤線を引いていた
写真を見る

 飯塚市教育委員会は、市内の全小中学校で、電子黒板など情報通信技術(ICT)機器を使った授業に取り組んでいる。電子黒板に教材の文字を簡単に拡大したり、動画も利用できたりするため、児童・生徒の理解や集中力が高まっているという。独自の予算で教材をそろえ、研修を重ねる学校がある一方、機器を十分に使えていない学校もあり、識者は「機器を整備するだけでは意味がない。校長のリーダーシップで学校全体として取り組んでほしい」と話している。

 「社会保障を支える人たちについて見てみよう」。1月中旬、庄内中で3年生の公民を担当する松本宗太教諭(46)が、生徒に声を掛けた。

 パソコンを操作すると、教室の電子黒板に、特別養護老人ホームで食事の支援をする介護福祉士を紹介する動画が流れた。生徒は動画を見た後、「高齢者が多いのに職員が少ない」「介護職に関わる人材が不足しているのではないか」と感想を述べた。

 電子黒板で利用するのは、紙の教科書をデジタル化したデジタル教科書。松本さんは「電子黒板やデジタル教科書では、写真やグラフの拡大が簡単にできる。動画も使えるので、生徒は視覚的に物事をとらえることができる」と話す。

 IT化やグローバル化に対応できる人材育成を図り、市教委はICT教育に注目。2015年度、庄内中のほか3小学校をモデル校に指定し、電子黒板やタブレット端末を整備した。

 庄内中では「さらにICT教育を進めたい」と、教職員全体で研修を実施するだけでなく、独自にデジタル教科書を導入。保護者に説明し、PTA会費を活用したほか、会議での資料は裏紙を使い、テントなどの購入費を節約し、1教科数万円かかる費用を賄った。

 市教委は16年度には県の補助事業を活用し、市内の全小中学校に少なくとも1台の電子黒板を整備。19年度までに市内の小5から中3までの各教室に電子黒板の整備を目指すが、予算が伴うため、デジタル教科書の導入は未定という。

 デジタル教科書を使わず、電子黒板だけの場合、教材は、教諭自ら制作しないといけない。ある中学教諭は「従来の黒板を使った授業の形式を変えるのには労力がいる。先生の能力差があるのが実情。それぞれが研修を通じて使い方をマスターする必要がある」。

 市教委は各学校の活動に差があることを課題に挙げた上で、「ICT機器を積極的に活用しようとする教職員の意欲は高まっている」と強調する。能力向上のため、研修の充実や各学校でのICT活用リーダーの育成に力を入れる方針だ。

 ICT教育に詳しい鹿児島大大学院の山本朋弘准教授(教育工学)は「コンピューターが得意な先生だけが使いこなせても意味がない」と指摘し、「ICT教育に取り組む教諭の経験や知識を、公開授業や事例集を通じて、共有していくことが大切だ」と述べた。

=2018/02/13付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]