吉田茂カレーの老舗、新飯塚の「太陽」閉店へ 3月末、72年の歴史に幕 経営者姉妹「多くの人に感謝」 [福岡県]

笑顔で出迎える(左から)松村久美さん、佐藤由紀子さん、松村久弥さん
笑顔で出迎える(左から)松村久美さん、佐藤由紀子さん、松村久弥さん
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吉田茂元首相が愛した「吉田茂迦玲」
吉田茂元首相が愛した「吉田茂迦玲」
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 飯塚市新飯塚のレストラン「太陽」が3月末に閉店する。吉田茂元首相の専属シェフ直伝のカレーや親子丼に多くのファンが魅了されてきたが、72年の歴史に幕を下ろすこととなった。経営する松村久弥さん(79)久美さん(70)姉妹は「多くの人から支えてもらった」と感謝の気持ちを込め、明るい笑顔で今日も客を出迎える。

 太陽は、父高一さんと母鞘子さんが戦後間もない1946年に始めた。吉田茂元首相の三女で麻生太郎副総理の母和子さんが麻生太賀吉氏と結婚して飯塚に来る際、シェフ「浜田さん」が同行。当時、パンなどの軽食のみを出していた太陽に立ち寄った浜田さんは、「日本人はお米を食べる」と数種類の料理を伝授したという。今も姉妹が引き継ぎ、守り続けている。

 姉妹が慕った「浜田のおじいちゃん」は、吉田元首相が愛したカレーも詳細に教えた。調味料の銘柄や分量はもちろんのこと、見て、香って、食べる「体感」を大事にし続けた。レシピは「門外不出」のため、他に伝わることはない。

 学生、病院職員、主婦、政治家…。多くの人の人生を店内で見つめ続けてきた。姉妹は、約10年務めるスタッフの佐藤由紀子さん(36)がやめるのを機に、「元気なうちにやめた方がいい」と閉店を決意した。

 昨年12月に決めてからは、鍋やカウンターを見ても涙ぐんでいたという久美さんは「一人一人のお客さんの人生を振り返ると、自分の人生も思い出す。お客さんに恵まれました」。久弥さんは「(やめるのが決まり)ホッとした気持ち。全力投球だった」と振り返った。

 レストランの前で小児科医をしていた父と子どものころから通っていた小林孝子さん(66)=福岡市中央区=は今も度々訪れ、子どもや孫の5世代で通った。「家庭的な温かさがあり、昭和の懐かしさを感じる店。里帰りの一番の楽しみだったので、残念でしょうがない」と惜しんだ。

 吉田元首相の専属シェフ直伝のカレーは、レトルトカレー「吉田茂迦玲」(一番食品製造)として販売(税込み620円)しており、閉店後も販売は続ける。営業は午前10時~午後4時。土日祝日は定休。太陽=0948(22)1910。注文はファクス=0948(24)0712。

=2018/02/22付 西日本新聞朝刊=

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