バリアフリーのまち、石川県中能登町ルポ イベントや観光 パラ選手の意見反映 [福岡県]

車いすで滝行ができるよう整備された石川県中能登町の「不動滝」
車いすで滝行ができるよう整備された石川県中能登町の「不動滝」
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昨年7月に石川県中能登町で開催された「車いすファッションショー」(町提供)
昨年7月に石川県中能登町で開催された「車いすファッションショー」(町提供)
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 14日開幕する飯塚国際車いすテニス大会には、障害者と健常者が共に生きる社会を実現したい、という思いが込められている。全国でバリアフリーのまちづくりが進む中、北陸地方には障害者アスリートの視点をまちづくりに生かしている自治体がある。人口約1万8千人の石川県中能登町。現地で取材すると、住民らのこんな思いが伝わってきた。障害の有無にかかわらず、観光やイベントを楽しんでほしい-。

 激しい音を立てながら、水しぶきを上げる。高さ20メートル。同町の観光スポット「不動滝」に続く道はきれいに舗装されていた。

 「車いすでも滝行ができるんじゃないか」。滝周辺の整備は、バンクーバーパラリンピックアイスホッケー銀メダリストの上原大祐さん(36)=東京都=らのアイデアから始まった。

 人口減少と高齢化に直面する町は、特産の繊維製品を使った地域おこしを考え、横浜市で開かれた義足の女性によるファッションショーに着目。運営方法を学ぶ中で、ブログでバリアフリーについて発信している上原さんと出会った。

 町職員や地元の中高生らと交流を深め、昨年4月には上原さんを含む町内外の有志による官民のプロジェクトチーム「障害攻略課」が発足した。観光スポットに車いすで訪れ、課題を検証。砂利道で段差もあった不動滝周辺は同7月に整備が完了した。障害者や高齢者が安全に歩けるルートを確保し、駐車場近くの小屋に自由に使える車いすも置いた。

 町内では義足の女性のファッションショーも開催。リオデジャネイロパラリンピック陸上日本代表の大西瞳さんも出演した。町の繊維業者は車いすでも簡単に着用できる浴衣を開発し、車いすファッションショーで披露した。多くの町民でにぎわい、パラリンピック選手を身近に感じ、障害者と健常者が交流する場となった。

 町は今後、古墳公園や古民家、不動滝などを回る障害者向けの観光ツアーを計画する。町役場の駒井秀士さん(41)は「20年の東京パラリンピックでは、外国人選手を呼び込みたい」と意気込む。

 上原さんは「バリアフリーは健常者が『こうだったらいい』と想像して進めているものも多い。当事者を入れて現実の声を生かしたまちづくりをすることが大事」と話す。

=2018/05/12付 西日本新聞朝刊=

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