農地の貸借ネットで仲介 電子地図上に所在地や写真 香春町が独自に運用 [福岡県]

「香春農地バンク」を利用して探した土地で野菜作りに励む大坪健二さん
「香春農地バンク」を利用して探した土地で野菜作りに励む大坪健二さん
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農地バンクの地図。旗印が空き農地を示す
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 耕作放棄地の拡大を食い止めようと、香春町は農地の貸し借りを仲介する「農地バンク」に取り組んでいる。パソコンソフトの地理情報システム(GIS)を使い、インターネットの電子地図上に貸し出し可能な農地の所在地や写真を公開。農林水産省によると、町独自の運用は全国的にも珍しいという。町によると、4月に1組の仲介が成立。農地を借りたいという相談も徐々に寄せられている。

 「知人のつてで探したが、条件の良い場所は見つからなかった。農地バンクの地図システムを使ったら町内をふかんでき、スムーズに決まった」。同町高野の大坪健二さん(66)は、自身の農地探しを振り返る。

 建設会社を退職後、新たな生きがいを見つけようと一から農業を始めた大坪さん。現在は約600平方メートルの畑を5年契約で借り、ジャガイモやブロッコリー、カボチャ、ゴボウなど15種の野菜を育てる。「自分で作った野菜を食べてみたかった。種をまいたら素直に芽を出してくれるのがうれしい」と精を出す。

 町が農地バンク制度を始めたのは昨年12月。北九州市や直方市など7市町で共同利用するソフトウエア開発会社「エスリジャパン」のGISを使用する。電子地図上にあるフラッグが、所有者が貸し出しを希望している空き農地を示しており、クリックすると、所在地や登記簿目、耕作面積、現場写真などが一覧できる仕組みだ。情報公開の期間は原則、3年間。

 農水省農地政策課によると、農地情報のインターネット発信には全国農業会議所が運営する「全国農地ナビ」があるが、町独自でGISを活用する農地バンクは全国的にも珍しいという。

 全国農地ナビの情報は各市町村の農業委員会が提供、更新する仕組みで、香春町も含まれる。だが、同町農業委員会による情報提供は年に1度の調査に基づくため、更新頻度が少ない。同課の担当者は「借り手の情報量、手続きの煩雑さを考えると町の取り組みは有効的」と話す。

 香春町産業振興課によると、3月現在、町内の農地488万平方メートル。うち23万平方メートルが耕作放棄地。過疎化と就農人口の減少で、耕作放棄地の拡大は全国的な課題だ。町担当者は「効率よく農地を紹介できるようになった上、町内外へのPRも可能になった。農業は基幹産業でもあり、ゆくゆくは新規就農者増につなげていきたい」と話す。

=2018/05/24付 西日本新聞朝刊=

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