「上野焼」の魅力と謎を探る 桃山茶陶フォーラム [福岡県]

桃山茶陶フォーラムで討論するパネリストたち
桃山茶陶フォーラムで討論するパネリストたち
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会場に展示された上野焼各窯跡の出土品。参加者たちは間近で見たり、手に取ったりした
会場に展示された上野焼各窯跡の出土品。参加者たちは間近で見たり、手に取ったりした
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 福智山麓で1602年に開窯した「上野焼」の魅力を探る桃山茶陶フォーラム(九州桃山茶陶研究会、福智町教委共催)が2日、同町図書館・歴史資料館ふくちのちで開かれた。県教育庁文化財保護課の岸本圭氏が「上野焼の魅力と謎」と題して講演し、同研究会の小山亘事務局長を交えて討論した。

 豊前小倉藩主が朝鮮人陶工・尊楷を招いて窯を築かせた茶陶の上野焼。福智町内には全長41メートルの登り窯跡などが見つかっているが、古窯の発掘調査が進まず、未解明な点が残る。

 講演で岸本氏は「上野焼の魅力の一つはうわぐすり。ガラス質を含み、美しさやツヤといった見た目だけじゃなく、耐水性を上げる機能的側面もある」と強調。討論では、小山氏は「同じうわぐすりでも青や黄の発色、あめ状や真っ黒になったりと焼き方でも変わる」と述べ、岸本氏は「数年前まで上野焼は資料が世に出ておらず、高取焼と区別がつかないという評価だった。土を分析すれば違いは分かる。上野焼の魅力はたくさんあるので発信してほしい」と話した。

■陶片に触れ、質問次々と

 桃山茶陶フォーラムには古陶磁ファンなど約100人が訪れ、講演や討論に耳を傾けた。上野焼窯跡の出土品も展示され、フォーラム登壇者の解説を聞きながら間近で見たり、触ったりして楽しんだ。

 上野焼当初の窯で41メートルの登り窯「釜ノ口窯」、240年以上稼働した「皿山本窯」…。参加者たちはさまざまな窯跡の陶片を手に取って、質感やうわぐすりの色、ツヤなどを確認していた。「(開窯させた)藩主の細川忠興と(上野焼開祖の)尊楷の結びつきは」などの質問も飛んだ。飯塚市の主婦、河津ひろみさん(55)は「焼き物が好きで上野焼、小石原焼などに出かける。上野焼は銅を含んだ緑青のイメージがあり、フォーラムで登り窯や自然釉(ゆう)などが詳しく聞けて分かりやすかった」と話した。

 上野焼宗家で渡窯12代目の渡仁さんは「上野焼は60年ほど前に大規模な発掘調査が行われたが、掘るだけで研究は進まなかった。古窯跡をもう一度しっかり調査することで古美術としての価値が分かり、上野焼も見直されるのでは」と語った。

=2018/06/03付 西日本新聞朝刊=

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