「まさか自分が…」他山の石に 交通事故起こした77歳男性、心境語る [福岡県]

事故を起こした時、信号待ちしていた右折レーンを指さす男性
事故を起こした時、信号待ちしていた右折レーンを指さす男性
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 65歳以上の高齢者が交通事故の加害者となるケースが増えている。住民の高齢化率が高い筑豊地区4署のまとめでは、自動車などがからむ人身事故のうち、高齢者が相手方より過失が大きいと判断される「第1当事者」になったのは、2016年が全体の22・2%(県平均18・7%)、17年が22・8%(同19・6%)と、県平均より3ポイント以上高く推移。特に身近な問題として捉えられる。そんな中、実際に事故を起こした鞍手町内の男性(77)が西日本新聞の取材に応じた。「まさか、自分が」と思った心境を語り、注意を呼び掛けている。

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 男性が事故を起こしたのは5月上旬。直方市内の橋の上だった。右折レーンで約1分間、信号停止。助手席に置いてある小銭を取ろうとした時、ブレーキを踏んでいた右足の力が緩み、前方車の後部バンパーに追突したという。相手の車の男性は首に痛みを訴え、人身事故になった。

 治療費や車の修理費などは全額保険が適用された。しかし、保険会社から明細を提示された時、「ほんの少し当たっただけでも、こんなに高い金額になるなんて信じられなかった」というのが本音だ。

 高齢者による交通事故が全国で多発していることは知っていたが、「47年間も運転していた自分には関係ないと思っていた」。

 事故後約2カ月が過ぎたが、今も男性は車の運転を続けている。「車が無ければどこにも行けない」。家から週に4日通うスーパーも、年金を受け取りにいくJAにも行けず、定期的に行く病院や郵便局も自転車や徒歩で行くには遠く、車が無ければ生活が成り立たない。タクシーは料金が高く、バスは本数が少ない。

 運転に怖さも少しあるが、事故を起こしても運転をやめられないのが現実だ。

 実況見分の際、直方署から高齢者向けの運転講習に誘われ参加した。(1)落ち着いて運転するために、ゆとりをもった車間距離が必要(2)信号と歩行者には常に緊張感を持つ(3)坂道はスピードが出ていることを忘れてしまうため、坂の頂上から下るときはアクセルを踏まない-などを講習で学んだ。もっと早く講習を受けていればよかったとも思う。「他の高齢運転者たちには、私の経験を他山の石にしてほしい」

=2018/07/02付 西日本新聞朝刊=

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