【豪雨1年筑豊は今】残る爪痕、啓発の場に 嘉麻市・馬見山の遠賀川源流地 [福岡県]

流木や土砂で埋まった嘉麻市馬見山の遠賀川源流地付近を指さす松岡朝生さん
流木や土砂で埋まった嘉麻市馬見山の遠賀川源流地付近を指さす松岡朝生さん
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 昨年7月の九州豪雨で、嘉麻市の馬見山の山中にある遠賀川源流地が土砂で埋まった。国道211号沿いの入り口から続く遊歩道は流され、渓流には丸太や岩が散乱した。遠賀川流域の環境保全活動に取り組むNPO法人「遠賀川流域住民の会」の松岡朝生事務局長(66)は「源流地は環境啓発のシンボル。今後は、ここで災害があったことを忘れないよう活動を続けていきたい」と思いを新たにしている。

 豪雨から2カ月後、現場に駆けつけた松岡さんは肩を落とした。遊歩道の柵が所々で土砂に流され、道が寸断。源流地から湧き出ていた水は止まり、えぐれた崖から木の根がむき出しになっていた。「再び土砂崩れが起きてもおかしくない状態だった。被害の大きい東峰村とは山を挟んですぐ近く。人的被害が無かったことがせめても救い」と話す。

 源流地は1980年代に国から認定を受け、旧嘉穂町の住民を中心に、森林の下草刈りやサケの稚魚の放流など遠賀川水系の自然環境を守る活動が始まった。取り組みは上流域から下流域にかけて広がり、今では県内の約80団体が活動している。

 住民の会は、25年ほど前から源流地でくんだ水でお茶を沸かし、元旦に一年の健康を祈願する行事「若水くみ」を開く。今年は開催が危ぶまれたが、川と人がつながるきっかけを無くしてはならないと、源流地の森の入り口付近で行った。

 松岡さんは「足を運ぶのは難しくなった。それだけ被害が色濃く残るということ。今後は豪雨の恐ろしさを伝える場所としても活用の道を探りたい」と話す。

=2018/07/03付 西日本新聞朝刊=

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