農業と消費者を結ぶ思いつづる 飯塚の畠中育雛場社長が随筆集 6次産業化、ネット通販…仕掛け続々 [福岡県]

随筆集を出版した畠中五恵子社長
随筆集を出版した畠中五恵子社長
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 飯塚市佐与の畠中育雛場の畠中五恵(さえ)子社長(54)が月刊誌「養鶏の友」で15年間連載してきた随筆をまとめた「人間万事塞翁が鶏 たまごや二代目五恵子の直売日記」が日本畜産振興会から出版された。インターネット通販や、卵の生産から加工、販売までを手がける「6次産業化」をいち早く取り入れてきた畠中さんの農業や養鶏に対する思いが全238ページにつまっている。畠中さんは「生産者と消費者の間で良い関係をつくっていきたい思いが多くの人に伝わればうれしい」と話す。

 畠中さんは飯塚市出身。鹿児島大農学部で獣医学を学び、夫となる大学の同級生と故郷に戻った。県家畜保健衛生所で働き、1990年、夫婦そろって畠中さんの父が創業した育雛場に入社。このころからヒヨコを育てる育雛部門だけでなく、産んだ卵の販売にも力を入れるようになった。

 双子の男児を育てながら、リーフレット作りのために、独学でパソコンを学んだ。98年、当時はまだ広く知られていなかったインターネット通販サイト「楽天市場」にショップを開設。出産の4時間後には病院でノートパソコンを開き、作業するほどのめり込んだ。

 6次産業化の先進例として、安倍晋三首相が視察に訪れた菓子工房兼直売店「たまごん工房」も同時期に立ち上げた。

 楽天市場への出店前、パソコン通信で関東圏の消費者から「この卵は生で食べてもいいのか」と質問され、「(消費者の意識との)ギャップに衝撃を受けた」。この経験が原点となり、消費者に農業や畜産を身近に感じてもらおうと、野菜収穫やポニーの乗馬体験などができるイベントを、2004年から年2回開催している。10年には「たまごご飯カフェ」も開き、消費者と直に接することを心がける。

 随筆集では、次々と新しい仕掛けを生み出した際の奮闘ぶりが易しい文章でコミカルに描かれている。「経営者とは、自分が下した経営判断を『それが絶対に正しい!』と信じてしまう覚悟を持った人なのではないか」と、社長としての決意をつづったページもあり、経営者の指南書としても楽しく読めそうだ。

 2千円(税込み)。近くたまごん工房でも販売を始める。

=2018/07/04付 西日本新聞朝刊=

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