文科省が拡大目指す「部活動指導員」 自治体は慎重に検討 筑豊地区は大任中が導入 [福岡県]

大任中の女子バスケットボール部の生徒たちを指導する石川陽士さん(左から2人目)
大任中の女子バスケットボール部の生徒たちを指導する石川陽士さん(左から2人目)
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 文部科学省が、昨年4月に制度化した「部活動指導員」の導入拡大を目指している。高校や中学校の部活動で、外部人材が教員の代わりに指導したり、試合や大会に引率したりできる制度で、長時間労働が課題となっている教員の負担軽減などを図るのが狙いだ。文科省は2021年度までに全国の公立中学に計約3万人を配置する目標を掲げる。導入は義務ではないが、筑豊地区の中学は大任町だけにとどまっている。

 「視野を広く持って」。9月、大任町の大任中体育館では、町内の児童養護施設に勤務する石川陽士さん(33)が、女子バスケットボール部の部員に身ぶり手ぶりを交え、アドバイスを送っていた。

 大任中バスケ部出身の石川さんは5年前に、女子バスケ部のサポートを始めた。町が「教員の負担軽減になる」と部活動指導員の導入を決め、今年7月から同指導員として週2回程度、生徒たちを教えている。

 部活動指導員は顧問の教員がいなくても単独での指導が認められており、女子バスケ部の顧問を務める永冨優子教諭(30)は「競技経験がないため、技術面の指導をしてくれるのはありがたく、採点や授業の準備に時間を割けるのも助かる」と話す。

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 教員の長時間労働は深刻だ。文科省が実施した16年度の教員勤務実態調査によると、学校内勤務時間は10年前より増えており、勤務時間が週60時間以上だった中学校教諭は全体の約6割に上った。これらの教諭の時間外労働は「過労死ライン」の目安とされる月80時間を上回っていることになる。調査は「部活動の活動日数が多いほど、学内勤務時間全体が長い」などと分析する。

 部活動指導員を巡っては、筑豊地区では、川崎町が町内の3中学校に配置するため、9月議会に指導員の報酬を盛り込んだ補正予算案を提案し、可決された。嘉麻市は設置に関する規約案などを12月議会に提出する予定という。

 国は部活動指導員の報酬の一部などを補助する。ただ、昨年4月に制度化されたばかりでもあり、自治体は慎重に検討している段階だ。

 飯塚市教育委員会は「導入する意義やどのように働いてもらうかについて精査しており、現場の意見を聞きながら協議を進めたい。保護者の理解を得る必要もある」と指摘。田川市教委も「部活動指導員に対する助言や情報共有などで、逆に教員に負担がかかるかもしれない」と慎重に議論を進める方針だ。

 人材確保の難しさを懸念する自治体も少なくない。ある町教委の担当者は「指導経験がある人を探すのは難しく、フルタイムで働きながら引き受けてくれる人もなかなかいないのでは」と話す。

 部活動指導員について、文科省の担当者は「教員の負担軽減に加え、部活動の質を引き上げるのが目的。地域の実情に応じて導入を進めていきたい」。現場の慎重な声に関しては「指導員への研修を充実させ、教員が困らないようにしっかりと準備してほしい」としている。

=2018/10/21付 西日本新聞朝刊=

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