直方藩発祥の古武術「双水執流」里帰り 分派した東京で伝承 多賀神社で演武披露 [福岡県]

多賀神社で演武を披露する臼木館主(右)ら
多賀神社で演武を披露する臼木館主(右)ら
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直方市内の柔道場で練習する清漣館一門の人たち
直方市内の柔道場で練習する清漣館一門の人たち
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 江戸時代に直方藩で誕生した古武術「双水執流(そうすいしりゅう)」が今年も古里に“里帰り”した。東京で流派を伝承する道場「清漣館(せいれんかん)」の臼木良彦宗隆館主(61)と門下生8人が直方市の多賀神社で演武を披露。2011年に始まり、8回目の“里帰り”で、組んで投げたり、刀で突いたりする柔術と剣術が合わさった古い形の武術を約40人の市民が見守った。

 流派は正式には「双水執流組討腰之廻(くみうちこしのまわり)」という。直方市や小竹町などの旧直方藩域を丹念に歩いてルーツを調査した臼木さんによると、17世紀中頃に始まり、同藩で伝承された。1720年の廃藩に伴う統合で福岡藩に伝えられ、明治期に東京へ分派された。

 清漣館が流派を受け継ぎ、ルーツに関心を持つ第16代館主の臼木さんは開祖の近親者の墓や極意を記した伝書を見つけ、技を忠実に守ってきた。城下町の鎮守として栄えた歴史を持つ多賀神社で10月14日、100近い技のうち、素手で行う組討の「松風返」や「矢倉落」など16種、刀を使う腰之廻の「突留」「風波の剣」など16種を解説付きで披露した。

 調査に協力し、居合の経験を持つ県文化財保護指導委員の牛嶋英俊さん(72)=直方市直方=は清漣館一門の伝承を「実戦に即し、古い形をそのまま残している。生きる文化財と言える」と評する。県出身の作家夢野久作(1889~1936)の代表作「犬神博士」には「双水執流」による武闘の様子が描写されている。

 地元で文化関係者らと交流を深めてきた臼木さんは「直方には流派の誕生地として敬意を抱いている。もっと地元の人々に知ってほしいと望んできたが、今回は直方に浸透したとの雰囲気を感じた。支部に当たる『稽古会』を直方につくるのが私のライフワークであり、夢」と流派の“古里”での伝承を願う。

=2018/11/01付 西日本新聞朝刊=

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