炭鉱王の会議録など展示 直方市で企画展 筑豊炭田、国史跡指定を記念し [福岡県]

伊藤伝右衛門の署名がある文書(手前左)など組合の会議録
伊藤伝右衛門の署名がある文書(手前左)など組合の会議録
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 筑豊炭田遺跡群が国の史跡に指定されたのを記念した企画展「史料が語る筑豊石炭鉱業組合」が直方市津田町の市中央公民館郷土資料室で開かれている。24日までの午前9時~午後5時。入場無料。

 同組合は石炭産業全盛期に筑豊炭田全体を取りまとめていた組織。筑豊の炭鉱王の一人、麻生太吉の提案で拠点となる会議所が明治末期の1910年に直方に建設され、炭鉱経営者や財閥系炭鉱の責任者らが集った。現在は建物が市石炭記念館本館として活用され、今年10月に国史跡に指定された。

 企画展の目玉は、組合の会議録や月報。総会や執行部の常議員会、炭鉱技術者を養成した筑豊鉱山学校の評議員会などが開かれ、石炭輸送や鉱山保安、鉱業法制、労働管理、採炭制限による炭価調整など重要な施策について議論された。

 11年の会議録には、輸送について九州鉄道管理局長に宛てた炭鉱王伊藤伝右衛門の署名入り文書があり、22~23年分には鉱害賠償責任に関する法律として欧州諸国のほか、ペルーやアルゼンチンの関係条文も保存され、世界各地から情報収集していたことを物語る。

 また、大正初めの13年には、警察当局が坑内などで「裸体的な状態」でいた女性労働者の服装の改善を求めた文書を組合に宛て、15年の会議録には労働組合への対策を図った文書が多く見られる。19年には鞍手中(現鞍手高)などの校舎建設に鉱業組合が多額の資金を拠出し、地域の高等教育を支援したことが分かる。

 市石炭記念館の八尋孝司館長は「日本の近代化の原点が会議所にある。その重みを知ってほしい」と話す。16日午前10時からは市中央公民館で、同市教委学芸員の田村悟氏が韓国で今年10月に開催された石炭のサミット「全国石炭産業博物館等研修交流会」について講演する。市教委文化・スポーツ推進課=0949(25)2326。

=2018/12/15付 西日本新聞朝刊=

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