「遠賀川源流サケの会」優秀賞 地域再生大賞 地道な活動に高い評価 [福岡県]

活動内容を説明する「遠賀川源流サケの会」のメンバー
活動内容を説明する「遠賀川源流サケの会」のメンバー
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サケの受精卵を見守る会長の青木さん
サケの受精卵を見守る会長の青木さん
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 遠賀川でサケの放流に取り組む嘉麻市のボランティア団体「遠賀川源流サケの会」が、地方新聞46紙と共同通信が設けた「第9回地域再生大賞」の優秀賞に選ばれた。会長の青木宣人さん(78)は「これまでの活動が認められてうれしい」と受賞を喜んだ。

 サケの会は1995年に発足。「サケを捕って食べようと思っているのではなく、サケが遡上(そじょう)する美しい川を見たい」と青木さん。毎年12月に新潟県から受精卵4万粒を取り寄せて、市内のふ化場でふ化させている。

 「慈しむように、優しく優しく扱っている」という受精卵は、年末にふ化が始まることが多く、正月もなく一晩中ふ化するのを見守る。水槽には遠賀川源流の水を入れ、毎年3月に、全長約5センチまで成長させた稚魚を流域の小中学生と遠賀川水系の約20カ所に放流している。

 会の活動は約200人の会員が年間千円の会費で資金面を支え、中心的なメンバーは10人ほど。青木さんは毎日2回、水槽の取水口の点検を欠かさない。2017年2月には豪雨の影響で山の地盤が緩み、水槽に水を供給するパイプに大量の土砂が流れ込んだ。大事に育てた稚魚は全滅。会の活動は最大の危機を迎えた。

 集まったメンバーで連日スコップを使って土砂を運び出し、一夏かけて復旧作業に当たった。「周囲の人たちの協力もあり、次の年から放流が再開できた」と振り返る。

 夏には他のボランティア団体と川の清掃や草刈りを行い、サケが戻って来るよう願う。毎年12月13日に鮭神社(大隈)で開かれる「献鮭祭」。その年に見つかったサケを奉納するが、昨年は見つからず、サケに見立てた大根をささげた。

 「サケが見つかるということは、川がきれいだということ。戻ってきていると思うんですが、実際には1匹でも見つかればいい方。サケを見つけきれないもどかしさも感じています」

 ふ化場では小学校などの社会科見学を受け入れ、子どもたちにサケの放流を通して環境保全の大切さを伝えている。「稚魚の放流を楽しみに待っている子どもたちがいる。体が持つ限りは活動を続け、今後を担ってくれる人が現れるのを待ちたい」

=2019/02/06付 西日本新聞朝刊=

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