父のソラマメ、再び特産に 町内唯一の生産農家・豊沢さん [福岡県]

収穫期を迎え、ソラマメの選別をする豊沢さん
収穫期を迎え、ソラマメの選別をする豊沢さん
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 かつて父が広めたソラマメをもう一度、水巻の特産に-。水巻町の農業、豊沢麟児(りんじ)さん(82)が、ソラマメ栽培に町内で唯一取り組んでいる。生産は7年目を迎え、収穫は当初の2倍の約2トンにアップ。「甘みが強く、味も濃い」と評判も上々だ。もっと多くの町民に知ってもらおうと、昨年スタートさせた収穫祭が21日に畑で開かれる。

 県が1937(昭和12)年に作成した冊子と豊沢さんによると、町で生産が盛んになったのは、戦前の水巻村時代。福岡農学校(現福岡農業高)で学んだ豊沢さんの父、潔(きよし)さん=故人=がコメの裏作として栽培を始め、普及したという。県の冊子には「断然他の産を圧して、蚕(そら)豆の王座を占むるに至った」と書かれ、名産地だったことがうかがえる。栄養価が高く、戦中・戦後の食糧難の時代、重宝されたという。

 戦後、途絶えた栽培に、豊沢さんが着手したのは2011年。それまではコメを作っていたが、知人から勧められ、「父が一度は一大産地にしたソラマメを、水巻の地にいま一度根付かせたい」と挑戦を決めた。

 品種は収穫量が多い「打越一寸(うちこしいっすん)」。ソラマメは同じ土地で続けて栽培することが困難な作物。一度栽培すると数年間隔を空ける必要があり、病気に弱いなど苦労も多かったという。だが、肥料の作り方に工夫を重ね、「手間暇を惜しまない」(豊沢さん)ことが奏功して順調に生産を拡大。現在、福岡、北九州両市に出荷している。

 町内での栽培拡大を目指し、町民でつくる「水巻そら豆研究会」(皇甫邦雄会長)も4月に発足、普及に向け汗を流す。豊沢さんは「水巻の農業を真剣に考える人に、育て方を惜しまなく教えたい」と後継者育成に情熱を燃やしている。

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 収穫祭は21日午前10時~午後3時、水巻町下二西1丁目の畑で開催。収穫体験と詰め放題(ポリ袋1枚につき500円)をメインに、ソラマメの無料バーベキューのほか、レシピの配布もある。隣接する上野精機に臨時駐車場(約130台収容)も設ける。同研究会=093(202)3177。

=2017/05/18付 西日本新聞朝刊=

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