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茶釜の歴史や製法、本に 芦屋町文化施設学芸員・新郷英弘さん 芦屋釜についても詳述 [福岡県]

書籍「釜と金工品」を紹介する新郷英弘さん
書籍「釜と金工品」を紹介する新郷英弘さん
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 芦屋町山鹿の文化施設「芦屋釜の里」の学芸員新郷英弘さん(41)が、茶の湯釜の製造方法や歴史などを紹介する書籍「釜と金工品」を出版した。茶釜の世界を、写真をふんだんに用いて分かりやすく解説。室町時代に将軍や大名などから重宝され、一世を風靡(ふうび)した芦屋釜の歴史などを詳述しており、「入門書として最適」と好評だ。新郷さんの単著は初めて。

 「釜と金工品」は新書判で207ページ、1296円。茶道関連で著名な淡交社(京都市)が発刊する茶道教養講座シリーズの10巻として、6月に刊行された。釜の各部位の説明や使用方法、製造工程▽奈良~江戸時代の歴史▽釜の評価と見どころ▽茶の湯で使われる金属加工技術など-を詳しく、分かりやすく説明する。

 茶釜の製造工程については「芦屋釜の里」での実際の製作現場を参考に紹介する。紙型から始まり、ヘラを使って文様を付ける鋳型づくりや鋳込み方法などを、工程ごとに写真を使って解説している。

 釜の歴史の項目では、茶人の好みの変化に合わせ、室町時代に脚光を浴びた芦屋釜が徐々に衰退し、栃木県佐野市の天明釜が興隆していく経緯を説明。江戸時代に入ると、京都や江戸に主要産地が移る一方、芦屋釜の鋳物師の流れを引くとされる博多釜が、地区を代表する特産品になったことも記している。

 現在の芦屋町から福岡市に移住し、博多釜を製作した職人の中には、町東部の地名である「山鹿」に改姓した人物がいたことも紹介。「芦屋鋳物師という自身の出自への誇りを表すものだろう」と、新郷さん自身の分析も加え、興味深い読み物に仕上げた。

 新郷さんは「茶釜の元祖は福岡の地にあった、ともいえるような素晴らしい古里の歴史を知ってもらえたらうれしい」と話している。

 【ワードBOX】芦屋釜

 14世紀中頃から17世紀初めにかけ、現在の芦屋町で生産された茶の湯用釜。文様の美しさ、薄さと軽さが特徴。茶人からの評価が高く、国指定重要文化財の茶釜9点のうち8点を占める。室町時代には大名の大内氏の保護を受け、幕府の8代将軍足利義政にも献上されたとされる。その後、衰退し、江戸時代初期には姿を消して職人は現在の福岡市などに移住したという。町内の文化施設「芦屋釜の里」が2009年、中世の技術を用いて復元に成功。15年には表千家の家元に寄贈した。

=2017/09/25付 西日本新聞朝刊=

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