「北九州あわび」初出荷へ ナノバブルで陸上養殖 小倉北区の丸福水産 「天然に近い味」実現 [福岡県]

赤い照明に照らされるアワビの陸上養殖場
赤い照明に照らされるアワビの陸上養殖場
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「北九州あわび」を使った料理
「北九州あわび」を使った料理
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 水産物卸売会社の「丸福水産」(小倉北区西港町)が、1万~2万分の1ミリの微細な酸素の気泡「酸素ナノバブル」を使ったアワビの陸上養殖に成功した。同社によると、酸素ナノバブルを使ったアワビの陸上養殖は国内で初めて。昨年1月から養殖を始め、丸1年となる今月中に初出荷される。名付けて「北九州あわび」。同社は「天然に近い味が実現した。新たな北九州ブランドにしたい」と意気込む。

 「世界でも類がない陸上養殖システムに挑戦した。ノウハウを確立し、地域水産業の発展に貢献したい」

 12日に若松区であった出荷開始発表会。あいさつした丸福水産の最上賢一会長(78)は力を込めた。会場には北九州市の漁協関係者ら約60人が集まり、北九州あわびの刺し身や煮物、天ぷらなどが並んだ。北九州あわびは、適度な柔らかさと歯ごたえが特徴。来賓として出席した北橋健治市長も「完璧な味」と絶賛した。

 同社は2016年秋、岩屋漁港(若松区有毛)の市有地約2600平方メートルを借り、約1億5千万円を投じて飼育棟や管理棟、機械棟などを整備。昨年1月、飼育棟の15の水槽に約6万個のエゾアワビとクロアワビの稚貝を投入し、陸上養殖を始めた。

 同社の強みは、特許技術を使ったナノバブル発生装置だ。酸素の気泡を溶かした響灘の地下海水で育てる。「酸素を多く含む水を与えることでエサを食べる量が増え、健康な状態で成長を早めることができる」と勝田潤一社長(61)。通常のアワビの養殖は出荷まで2~3年かかるが、ナノバブルを使うと、1年間で出荷可能な7~9センチまで成長するという。

 飼育環境にもこだわった。アワビは夜行性なため、飼育棟ではアワビが認識しない赤色の照明にした。ストレスを感じないよう、建屋も外から音が伝わりにくい構造を採用。エサは北海道産の海藻「チガイソ」を使った。まだ、コスト削減などの課題もあるが、勝田社長は「稚貝からエサまで純国産で生産した。見た目も食感も味も、海外産に負けない」と胸を張る。

 同社は今年、4万個を出荷する予定。2年後には10万個まで生産を増やす計画だ。市内の漁協にナノバブル発生装置を貸し出すことや、アワビ生産組合を結成することも検討しており、将来は市内で100万個の生産を目指す。最上会長は「お世話になってきた水産業界に貢献したいとの思いで始めた。高齢で漁に出られなくなった漁業者の雇用にもつなげたい」と話している。

=2018/01/14付 西日本新聞朝刊=

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