サル被害急減 対策奏功 目撃件数もピークの2割 官民で会議、職員が巡回… 専門家、監視継続の必要性指摘 [福岡県]

山の方向に向けて受信機を掲げる小倉南区役所の担当者(18日、同区呼野)
山の方向に向けて受信機を掲げる小倉南区役所の担当者(18日、同区呼野)
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 ニホンザルによる農作物被害に悩む小倉南区で、サルの目撃件数が2017年12月時点までに26件と、多かった14年の2割程度(同月比)に減っている。行政と住民らが検討会を開き、連携して被害防止に取り組んでいることが奏功したとみられる。一方、サルの生態に詳しい専門家は群れが一時的に減っても、個体数が増える可能性を指摘する。

 「久しぶりにクリを出荷できました」。同区呼野の農家、下沢繁道さん(68)は顔をほころばせた。下沢さんは副業でクリを栽培しているが、これまで9月初旬になるわせのクリの被害が集中。7年前から、わせのクリは全てサルに食べられてきた。ところが昨年9月は被害はゼロ。約300キロを出荷した。

 小倉南区役所などによると、同区では10年ほど前から隣接する香春町などを回遊するとみられるサルによる被害が目立つようになり、タマネギやトウモロコシを食べられるなどの被害が出ている。

 被害を受け、北九州市は13年にサルの生態に詳しい大学教授や地元住民8人で構成する検討会議を発足し、対策に乗り出した。

 助言を受けて捕獲したメスザルに発信器を装着し、動きを監視。さらに嘱託の“パトロール”職員一人が同区内を巡回。発見次第、花火で追い払ったり、サルの出没場所などを住民にメールで知らせ、追い払いの協力を仰いだりしている。

 その結果、同年実施した調査では推定約130匹の群れが現在は分裂、50匹と20匹のそれぞれの群れに落ち着いた。

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 17年度はサルの目撃件数も減少した。

 17年4~12月の累計は26件で、前年度の69件から急減。12月時点で最も多かった14年度の106件に比べると2割程度の水準にとどまっている。

 市鳥獣被害対策課によると、ピーク時の13年度に150万8千円だった農業被害額も17年度は最低になる見通し。同課は、花火の追い払いでサルが人里を敬遠するようになったほか「山の食物だけで暮らしていける個体数に落ち着いたのではないか」と分析する。

 一方で、サルの生態に詳しい山口県下関市の梅光学院大の田中俊明教授(動物行動学)は「一時的にサルの個体数が減っても、群れが分裂してかえって増えたり、数頭のグループが多数できてゲリラ的に集落を襲ったりする例もある。今後も監視や追い払いが必要だ」と指摘している。

=2018/01/21付 西日本新聞朝刊=

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