7万人の子、到津の森で学んだ 林間学園の80年を絵本に 美術講師・原賀さん出版 [福岡県]

「到津林間学園ものがたり~シイの木じいさんのおはなし」を出版した原賀いずみさん
「到津林間学園ものがたり~シイの木じいさんのおはなし」を出版した原賀いずみさん
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 動物公園「到津の森公園」(小倉北区)で約80年続く「林間学園」の歴史を、小倉南区の美術講師、原賀いずみさん(59)が絵本にまとめた。計約7万人の小学生が自然や動物に触れ合った学園の歩みを描くとともに、園の運営に関わった文化人や戦争による影響も紹介。原賀さんは「学園が続いてきた背景にいろいろな物語があったと知ってほしい」と話している。

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 到津の森公園の前身、到津遊園は1932年に開園。林間学園は37年に始まり、童話作家の久留島武彦(1874~1960)が初代学園長を務めた。到津遊園は2000年に閉園したが、北九州市が西日本鉄道から経営を引き継ぎ、林間学園も存続。昨年も8月に開催され、約660人が動物の観察やスケッチを通して自然について学んだ。

 絵本は「到津林間学園ものがたり~シイの木じいさんのおはなし」と題し、園内にあるシイの木が思い出を語る設定だ。戦前の林間学園で、子どもたちが童話を聞いて詩を作ったり、動植物を観察したりしたことを紹介。戦争中には中断したが、当時の園長で詩人などとして知られる阿南哲朗(03~79)が、遊具のなくなった園で丸木のいす600個を手作りして学園を再開したことを描く。

 原賀さんの父は、獣医師として初めて到津遊園の園長を務めた森友忠生さん(故人)。原賀さん自身も林間学園に参加し「学校が違う友達との出会いや動物のスケッチ大会は忘れられない思い出」と振り返る。閉園発表後に署名運動も展開した原賀さんは「子どものころ学園に参加した大人に読んでほしい」と話す。

 阿南の後に学園長となった古村覚さんが残した記録書類や、関係者の遺族への取材を基に執筆。木々の中で話に耳を傾けたり、動物と触れ合ったりする子どもの姿を優しいタッチの絵にして添えた。

 絵本は800冊を自費出版。1200円。刊行に合わせて28日まで、小倉北区の「北九州文学サロン」で原画展を開催している。

=2018/02/22付 西日本新聞朝刊=

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