吉富町、しゅんせつ放置 豪雨から8カ月町管理の単独航路 満ち潮のみ操業…漁業者「生活できぬ」 [福岡県]

昨年7月の九州豪雨で土砂などがたまった吉富漁港からの航路(中央)。右側に吉富漁港がある
昨年7月の九州豪雨で土砂などがたまった吉富漁港からの航路(中央)。右側に吉富漁港がある
写真を見る
航路にたまった土砂で航行中に破損した漁船のスクリュー(吉富漁協提供)
航路にたまった土砂で航行中に破損した漁船のスクリュー(吉富漁協提供)
写真を見る

 昨年7月の九州豪雨で、土砂やがれきなどがたまった吉富町管理の航路のしゅんせつ工事が、8カ月近くたった今も行われていない。町議会(若山征洋議長)が昨年9月、しゅんせつを求める決議を全会一致で可決したほか、27日には吉富漁協(山本宗一組合長)が今冨寿一郎町長宛てに陳情書を提出したが、工事に向けた動きはない。

 議会や漁協が求めているのは、吉富漁港から大分県と吉富町の共同航路につながる単独航路(長さ640メートル、幅30メートル)のしゅんせつ。大分県側は豪雨直後にしゅんせつ工事を実施した。

 漁協によると、しゅんせつをしていないため満ち潮の間しか操業できず、漁獲量に影響が出ているという。緊急時は宇島漁港(豊前市)や小祝漁港(大分県中津市)に係留している。漁船のスクリューが破損する事故は本年度、一昨年度の3倍強の13件に上る。

 関係者によると、前組合長の言動を巡って、今冨町長が「漁協とは交渉はしない」との姿勢を崩さないことが、しゅんせつが行われない原因という。前組合長は責任を取って辞職。山本組合長になって新たに要請活動をしたが、町長は「理事全員の交代」の立場を取り、平行線をたどっている。

 山本組合長は「このままでは生活ができない」と訴える。漁港やしゅんせつ工事に詳しい専門家は「町は漁業者の安全を確保する責務がある」としゅんせつの必要性を指摘する。

 今冨町長は「交渉に入るには信頼回復が大前提。漁協の動きを見極めたい」と話している。

   ◆    ◆

 2018年度一般会計当初予算案にも、漁業への影響が出ている。水産業費は前年度比78%減の599万円。アサリの放流などの水産資源育成事業補助金は本年度250万円だったが、18年度は1万円となった。

=2018/02/28付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞のイチオシ [PR]

西日本新聞のイチオシ [PR]