旧若松町出身のヤクルト創業者 永松昇氏の評伝刊行 元記者井上さん「理想的な川筋男」 [福岡県]

井上さんが自費出版した永松昇氏の評伝
井上さんが自費出版した永松昇氏の評伝
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 乳酸菌飲料のヤクルトの創業者ながら知る人は少ない旧若松町(現北九州市)出身の実業家、永松昇氏(1910~75)の評伝「時知りてこそ ヤクルト創業者・永松昇」を、元新聞記者でフリージャーナリストの井上茂さん(74)=小倉北区在住=が海鳥社から自費出版した。井上さんは「人の健康増進という理念に生きた永松は理想的な川筋男。そういう人が北九州出身であることを知ってほしい」と話している。

 井上さんによると永松氏は、若松の商家に生まれ、現在の大分県宇佐市で育った。幼い頃、虚弱体質だったことから医師の道を目指したが、網膜剥離を患い断念。「人の健康をあずかるのは医師だけではない」と、この頃「不老長寿の食べ物」として流行し始めたヨーグルトの製造販売に身を投じた。

 35年、福岡市でヤクルトの前身「ヤクルト研究所」を創業。乳酸菌「シロタ株」生みの親の微生物学者、代田稔博士と出会い、事業を拡大させたものの、太平洋戦争で多くの製造工場を失った。自身も出張先の広島で原爆に遭遇。身体の不調に苦しみながらも戦後、ヤクルトを再興した。

 井上さんの取材のきっかけは2013年、福岡市中央区唐人町で発祥の地を示すモニュメントを偶然、目にしたことだった。井上さんによると、永松氏はヤクルトを離れた後、新しい食品会社を立ち上げたこともあり、「長く忘れられた存在になっていた」。しかも、永松氏を直接知る人の多くが亡くなっていたため、取材は難航。書き上げるまで3年半かかったという。本は四六判、204ページで1500部出版。1836円。

=2018/03/14付 西日本新聞朝刊=

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