平尾台ワイン、自家醸造へ 特区認定で来年から オーナー宮木さん「北九州の名物に」 [福岡県]

平尾台のブドウ畑に立つ宮木秀和さん。手に持つのは2017年産のワイン「平尾台」
平尾台のブドウ畑に立つ宮木秀和さん。手に持つのは2017年産のワイン「平尾台」
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平尾台にある作業場でワインの瓶詰め作業をする宮木さんたち
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 国内有数のカルスト台地・平尾台(小倉南区)のブドウ園「ドメーヌ・ル・ミヤキ」で育ったワイン用ブドウから醸造するワイン「平尾台」。園オーナーでソムリエの宮木秀和さん(67)のワイン製造事業が3月末、国の構造改革特区に認定された。「平尾台」の生産はこれまで大分県の酒造所に委託していたが、年内に酒類製造免許を取得し、来年から自家醸造に乗り出す。原野を切り開き、ブドウ栽培を始めた宮木さん。「いずれは北九州の名物に」と意欲をみせる。

 小倉北区出身の宮木さんが平尾台にブドウを植え始めたのは2009年。きっかけは、20年以上前にワインの勉強で訪れたフランス・ボルドー地方での経験だった。400~500メートルの標高にある石灰岩の山肌。平尾台を想起する風景だ。「いつか平尾台で造ったワインを飲んでみたい」。平尾台の30アールの原野を借りて、家族や知人4人で畑を切り開いた。現在、600本のブドウを育てる。

 ブドウ栽培の道のりは険しかった。木の病気や鳥獣被害…。15年、あと1週間で収穫というところで台風が直撃し収穫量が半減した。ようやく高い品質の実がなったのは16年夏だった。350キロのブドウを収穫し、大分県の酒造会社にワイン生産を委託。約半年後の17年春、300本のワイン「平尾台」が誕生した。

 今年4月には、17年夏に収穫したブドウからできたワインを平尾台の作業場に持ち込み、瓶詰めした。約500本。瓶詰後、半年ほど熟成させ販売する。

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 宮木さんの夢は、多くの人に「平尾台」を楽しんでもらうこと。そのために、ワインの生産量拡大を目標に据える。

 ワイン醸造には安定供給が求められる。今回認定された構造改革特区は、ワインの提供が飲食店などに限定される。農地を拡大して収穫するブドウを増やし、ワインの最低生産量を2千リットルとした国家戦略特区への認定を目指す。国家戦略特区に認定されれば、酒店などでの瓶売りが可能になる。

 現在のブドウ畑はワインの生産量が500リットル程度にとどまるため、今後、栽培面積を広げていく考えだ。

 もう一つ、ワイン増産の壁になっているのがブドウの苗木不足だという。今秋には産地などの表示が厳格化され、国産ブドウを100%使用しないと日本ワインを名乗れないようになる。大手果樹種苗業者によると、3年ほど前から注文が殺到し、苗木が足りていない状況。宮木さんは苗木確保にも苦労している。

 北九州市では、若松区でもワイン醸造所が4月に開所した。宮木さんは「個性あふれる自家醸造ワインを流通させたい」とこだわりをみせる。市食の魅力創造・発信室の担当者は「若松と合わせ、市の名物に育ってほしい」と期待する。

=2018/05/06付 西日本新聞朝刊=

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