「幻の花」普及に住民一丸 戸畑あやめを育てる会 活動40年超、苗配布や育て方講習 [福岡県]

戸畑あやめ公園で戸畑あやめを観賞する子ども
戸畑あやめ公園で戸畑あやめを観賞する子ども
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 明治末まで北九州市の戸畑地域のみに自生し、根元近くに可憐(かれん)な花を咲かせる固有種「戸畑あやめ」。開発で絶滅したと考えられていた時期もあり「幻の花」と呼ばれたこともあった。1958年に戸畑区内の農園に残っていたことが分かり、保存、普及が進められ、今では同区を象徴する花に育った。その陰には、地域住民たちの地道な取り組みがあった。

 大谷市民センター(同区東大谷)で6日、開かれた「第17回戸畑あやめまつり」は、出店や住民が育てた自慢の戸畑あやめを持ち寄る品評会などがあり、大勢の人出でにぎわった。中でも盛り上がったのが、戸畑あやめ20鉢のプレゼント抽選会。「当たった」。くじ引きで当選者が出るたび、歓声が上がっていた。

 5月上旬ごろに紫や白の花を咲かせる戸畑あやめは、通常のアヤメよりも小ぶりで丈が10~15センチ。花が草よりも低く、根元近くに咲く。地域住民たちでつくる「戸畑あやめを育てる会」(約130人)会長の檜山弘之さん(74)は「地面すれすれに咲く姿がかわいい。戸畑の町をこの花でいっぱいにしたい」と話す。保存活動は1977年に始まり、育てる会は2002年に発足。希望者に苗を配布したり、育て方の講習会を開いたりしている。

 檜山さんは会長に就任して11年目。これまで苦難もあった。7、8年前には病気が発生し多くの花が枯れた。「絶滅したらいけん」。東京の研究者に病気の株を送り白絹病と特定、農薬を散布した。多くの株が植えられている戸畑あやめ公園(同区西大谷)では現在、見回りや水まきを欠かさない。

 戸畑あやめは、区のシンボルとして区役所や区内の公園でも育てられ、愛される花になった。「会員たちとずっと守っていきたい」。檜山さんは思いを強くしている。

=2018/05/09付 西日本新聞朝刊=

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