小倉藩のワイン原料「エビヅル」栽培に挑戦 みやこ町の80歳 前例なく試行錯誤、発芽に成功 [福岡県]

稲佐英明さんと、つるを挿し木したガラミ。葉を付け始めている
稲佐英明さんと、つるを挿し木したガラミ。葉を付け始めている
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 江戸期に小倉藩(後の豊津藩)が造ったぶどう酒(ワイン)の原料になったエビヅル(通称ガラミ)の栽培に、みやこ町犀川大坂の稲佐英明さん(80)が取り組んでいる。犀川地域のぶどう酒醸造の歴史を知ってもらおうと活動する民間団体「ワインの扉研究所」(行橋市)の依頼を受けて挑戦。栽培の前例がない中、稲佐さんは試行錯誤を繰り返して育てている。

 エビヅルはブドウ科の植物で、京都地方では「ガラミ」、豊築地方では「ガラメ」と呼ばれる。秋に直径5~6ミリの黒い実がブドウの房状に熟し、甘酸っぱい味がする。

 エビヅルは昨年9月、同研究所メンバーが大坂地区で自生地を発見。稲佐さんは知人のメンバーから栽培を持ち掛けられ同月、自生地から種約500個とつる約500本を採取した。

 稲佐さんは、つると種の保管法をインターネットなどで調査。つるは6度に設定した冷蔵庫で保存し、乾燥に弱い種は水分を含ませたクッキングペーパーに載せて管理した。今年3月初旬、肥料などを入れたポットにつるを挿し木した500鉢と、種をまいた500鉢を自宅の庭で育て始めた。その結果、ほとんどのポットで4月下旬までに葉が出たり発芽したりした。

 エビヅルの栽培例はないため、稲佐さんは1日3回の水やりに加え、ポットの状態を毎日確認しながら、栽培方法を探っているという。稲佐さんは「いつ果実がなるかなど分からないことは多いが、情報を集めながら大切に育てたい」と話している。

 小倉藩のぶどう酒醸造は、熊本藩主細川家伝来の美術品や歴史資料を収蔵し、展示・研究を行う永青(えいせい)文庫(東京)の古文書に、大坂地区に隣接する同町犀川大村地区で造ったとの記述があった。このため、同研究所がエビヅルのぶどう酒醸造の復活を目指している。

=2018/05/11付 西日本新聞朝刊=

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