旧蔵内邸の来館者回復傾向に イベントやおもてなし奏功 着物体験や手作りの折り紙… [福岡県]

庭園が美しい旧蔵内邸への入館を呼びかける高橋幸子館長(右)とスタッフ
庭園が美しい旧蔵内邸への入館を呼びかける高橋幸子館長(右)とスタッフ
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旧蔵内邸の応接間で打ち掛けを着た姉妹
旧蔵内邸の応接間で打ち掛けを着た姉妹
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応接間で打ち掛けを着た人たち
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かぶとを身につけた家族連れ
かぶとを身につけた家族連れ
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 美しい庭と木造の豪華な邸宅で知られる国名勝の旧蔵内邸(築上町上深野)は、4月に開館6年目を迎えた。初年度(2013年度)の年間来館者が最高で、その後は減少傾向を示したが、17年度に初めて増加に転じた。旧蔵内邸に似合うイベントの開催に加え、スタッフ独自のおもてなしが功を奏したかたちだ。

 「着物を着ることもできますよ」。庭の見える応接間で、高橋幸子館長が声を掛けた。

 2年前から赤や白の打ち掛けを無料で着て、庭などを背景に写真を撮ることができるようにした。韓国では写真共有アプリのインスタグラムを通じて、旧蔵内邸は人気があるという。

 本格的に着物体験をPRしたのは、今年に入ってからだ。旧蔵内邸を夜間開放した「ホタルの夕べ」(2日)では、多くの人が打ち掛けを羽織った。2度目の来館という小倉南区の会社員井本志津香さん(35)は「ゴールデンウイークに初めて来た時に夜間開放を知り、姉を誘って来た。着物姿の写真は両親に見せます」と笑顔を見せた。

 大広間では、来館者に300円で提供する煎茶(せんちゃ)とお菓子が載ったおぼんに手作りの「ホタルの折り紙」を添えるなど、季節感を出す工夫も。庭の石鉢には旬の花を浮かべ、来館者からは「おもてなしが素晴らしく、また来ます」との声が相次いだ。

■「体験」拡充へ

 町生涯学習課によると、来館者数は13年度は3万千人ほどだったが翌年度は約2万8千人に。その後約2万2千人で推移したが、17年度は2万3千人になった。

 15年度までは企画展なども少なく、リピーターも限られていたという。16年度から「端午の節句」展やひな人形などを展示した「ひなづくし」などのイベントを積極的に開催。こうした取り組みが来館者増につながったという。

 町は、2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、英語や中国語、韓国語のリーフレットを作る予定。お茶やお花など、日本文化の体験や催しを拡充する方針だ。

■3万人が目標

 同課の高尾栄市課長補佐は「近くにある(古民家レストランの)伝法寺庄(でんぽうじのしょう)などと連携を強めるとともに独自のもてなしで、年間来館者3万人を目指す」と話す。

 地元住民などを中心に金唐革紙(きんからかわし)の「しおり」づくりを実施し、旧蔵内邸受け付けで販売もしている。手作りの甲冑(かっちゅう)の試着も可能だ。新規来館者の開拓に加え、リピーターをいかに増やすか。旧蔵内邸の挑戦が続く。

=2018/06/09付 西日本新聞朝刊=

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