ご当地歌手、衰え知らず みやこ町の黒田武士さん デビュー28年で30曲 役者、DJ、司会も [福岡県]

スターコーンFMの「黒武の生涯現役」のメインパーソナリティーを務める黒田武士さん。軽妙なおしゃべりでファンが多い
スターコーンFMの「黒武の生涯現役」のメインパーソナリティーを務める黒田武士さん。軽妙なおしゃべりでファンが多い
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黒田武士さんがこれまでに出したデビュー曲の「紫川」などのCDやカセット
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 みやこ町にご当地歌手がいるのをご存じだろうか。黒田武士(くろだたけし)(本名・山本金保)さん(67)=同町国作=だ。作詞作曲をこなす黒田さんは、演歌を中心にデビューから28年間に約30曲を出す一方、FMラジオのパーソナリティーや地元の喜劇集団の団員、司会もするなど活動は衰えを知らない。

■突然の脱退

 黒田さんは行橋市出身。19歳のころから「六法全書」という地元ロックバンドのメインボーカルとして八幡東区などのクラブを拠点に活動。「ビートルズに憧れて音楽にのめりこんだ」と語る。

 しかし、27歳のときだった。クリスマスのパーティー会場での演奏後、バンドからの脱退を仲間に申し出た。そのころはトラック運転手をしながら、休日に演奏をする生活。家族もいた。「歌だけでは食べていけない」。ボーカルの申し出を受けてバンドはそのまま解散。黒田さんは家業を継ぎ大工になった。

■実姉の一言

 歌を断念して大工になった後、外装工事会社も立ち上げたが、32歳の時に会社をたたみ借金も背負った。「苦しかった。負債を返すことだけ考えた」と振り返る。歌のことを思う時間はなかった。身を粉にして働いた。

 3年後、借金返済のめどが立ちかけた頃、飲食店を経営していた姉の孝美さんから「カラオケ教室をしてほしい」と依頼された。「まだ、借金も返済できていないのに」と迷う弟に姉は「みやこ町犀川の民家で教えて」と決断を促した。

 姉に言われるがままに教室を始めることになったが、「親切で優しい」「教え方がうまい」との評判が地域で広まった。さらに、「プロ級の歌い手がいる」とのうわさがレコード会社の耳に入り、デビューの話が浮上した。

■FMで番組

 1990年7月に北九州市を流れる「紫川」でデビュー。その後は、北九州市制30周年記念で同市から依頼されて作詞した「小倉よいとこ」を歌うなど、ご当地歌手の地位を固めた。一方で、5年前から第三セクター「東九州コミュニティー放送」(愛称スターコーンFM、築上町)で、毎週水曜日午後2時から「黒武(くろたけ)の生涯現役」のメインパーソナリティーを務める。軽妙なおしゃべりが受けて、ファンも多い。行橋市で活動する喜劇集団「京築(きょうちく)新喜劇」=尾形公座長(63)=の役者も務める。

 デビュー時には、かばんにカセットを入れ、スナックなどで自ら売って回るなど苦労したが「好きなことを仕事にできるのは幸せだ」と語る。

 今、活動で力を入れているのは、特養施設を訪ねてコンサートを開くこと。「かつて応援してくれた方が施設に多くいるので励まして恩返しをしたい」。その思いが黒田さんを支える。

=2018/08/20付 西日本新聞朝刊=

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