小倉藩主のぶどう酒再現へ 原料のエビヅルすくすく みやこ町 醸造とキリシタン、関連か [福岡県]

地元FM放送で、キリシタンとワイン醸造の関連を話す安東邦昭さん=8日、築上町のスターコーンFM
地元FM放送で、キリシタンとワイン醸造の関連を話す安東邦昭さん=8日、築上町のスターコーンFM
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 小倉藩(後の豊津藩)の藩主・細川忠利(1586~1641)が江戸初期、家臣にみやこ町犀川大村でぶどう酒を造らせていた論文が明らかになったことを受けて、ぶどう酒を再現してまちおこしを目指す地元の民間団体の動きが活発化している。さらに、ワイン醸造と細川家との関係に注目する宗教研究家が民間団体と情報交換の連携を模索するなど、新たな活動も生まれている。

 ぶどう酒の原料とされるエビヅル(通称ガラミ)。5月に植えた苗はこの夏、高さ約30センチに成長していた。「試行錯誤なので成長の具合を判断するのが難しくて」と語るのは、同町犀川大坂の自宅の庭で栽培する稲佐英明さん(80)。種と挿し木をした計約700鉢を育てている。

 稲佐さんは、ぶどう酒の復活を目指す民間団体「ワインの扉研究所」(みやこ町)やNPO法人「豊津小笠原協会」(同)の依頼を受けて栽培に着手。1日に3~4回の水やりを欠かさない。

 今月、そのエビヅルに緑色の花のつぼみがつき始めた。花が咲いた後、秋に黒い果実がつくとみられる。稲佐さんや両団体は、秋に果実を収穫後、両団体メンバーの知人が管理する民有地に育てたエビヅルを植え替える。

 一方、町内で自生するエビヅルの果実も採取し、栽培した果実と一緒にワインを造ってもらえる醸造会社を探している。

 3月、細川家伝来や歴史資料などを収蔵する永青(えいせい)文庫(東京)の古文書に、同町犀川大村地区で細川家がガラミでぶどう酒を造ったとの記述があったことを、元北九州市立自然史・歴史博物館(八幡東区)の永尾正剛学芸員(71)が論文にまとめた。

 永尾さんの論文に関心を寄せる研究者がいる。北九州保育福祉専門学校(苅田町)特任教員の安東邦昭さん(74)=小倉南区=だ。

 全国かくれキリシタン研究会副会長も務める安東さんは、初代小倉藩主、細川忠興(1563~1646)の家臣でキリシタン武将の加賀山隼人(かがやまはやと)(1566~1619)の偉業などを研究している。徳川幕府が出した「禁教令」で主君の手にかけられた加賀山は来年、殉教400年を迎える。

 安東さんは、江戸期にみやこ町など京築地方にかくれキリシタンが所在していたのではないかとみている。しかし、「京築地方ではそれを示す遺物は見つかっていないようだ」と指摘。一方で、ワイン醸造に関して「キリスト教のミサでワインは重要な位置を占める。ワイン醸造は、小倉のキリシタンと強いかかわりがあるのでは」と語る。

 安東さんは、同協会などと組んで、ワイン醸造と小倉のキリシタンらとの関連情報を集める方針だ。

=2018/08/25付 西日本新聞朝刊=

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