【街 みらい】高齢者支援 ロボット導入・IT見守り…北九州市「介護先進地」へ実証進む 人手不足解消へ [福岡県]

ベッドから車いすなどへ移乗させるリフト
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体温などが自動入力される介護作業の記録システム
体温などが自動入力される介護作業の記録システム
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 介護施設の職員負担を軽減するとともに、サービス向上につなげようと、北九州市は情報系の機器を駆使した施設運営や「介護ロボット」導入の先進地を目指している。施設の協力を得て実証事業を積極的に行い、国もモデル自治体として期待を寄せる。市内の施設を訪れると、IT技術を使った見守り機器や介護記録の入力自動化などが既に進んでいた。

情報機器導入、作業を効率化

 「起き上がり」「柵越え」「生体異常」…。門司区にある特別養護老人ホーム「好日苑(こうじつえん) 大里(だいり)の郷」の職員スペースのパソコン画面では、各部屋のカメラから送られてきた高齢者の動画が常時、見られる。異常時の通報システムも備える。

 同ホームは2016年度から市の実証事業を引き受けたことをきっかけに、動画による見守りシステムを導入。プライバシー配慮で輪郭から動きを読み取る工夫がされている。

 現場で進みつつあるのがこのような情報系の機器だ。介護記録も、手持ちのスマートフォンなどに打ち込んでスタッフが共有。検温や血圧などは無線でスマホに入力される。同ホームの渡辺大祐施設長は「情報機器は作業の効率化につながっている」と評価する。

特区認定、5施設で実証事業展開

 市は16年4月に国家戦略特区に認定されて以降、同ホームを含む市内5施設で実証事業を展開。ベッドから車いす、車いすからトイレなどへの移乗支援など11種類119台のロボット機器を試したという。各施設からは「見守り回数が減った」「作業時間は長くなったが、介助が楽になった」などと歓迎する意見が寄せられている。

 「大里の郷」では独自に高齢者の移乗を支援する固定リフト型のロボットも段階的に導入。渡辺施設長は「移乗支援は利用に時間がかかるが、職員の体の負担軽減になる。情報系と組み合わせることで、新しい介護現場のあり方を模索していきたい」と考える。

人手不足の現場で「働き方改革」を

 市の最終目標は、人手不足に悩む介護現場の働き方改革。来年度には、ロボットを使った勤務シフトなど具体的な施設の運営方法をまとめた「北九州モデル」を策定する意向だ。

 政府も働き方改革に力を入れ、厚生労働省は介護保険制度で、介護ロボットを施設に導入した場合に報酬を加算するなどの改定を視野に入れており、研究調査などに取り組んでいる。厚労省介護ロボット開発・普及推進室は「北九州市は全国の中でも先進地といえる。協力し合いながら、介護者の負担軽減と利用者へのサービス向上に結びつけていきたい」と話している。

=2018/09/18付 西日本新聞朝刊=

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