北九州交響楽団創立60年 危機乗り越え、市民と共に 14日に集大成の演奏会 [福岡県]

定期演奏会に向けて練習に励む北九州交響楽団の団員たち
定期演奏会に向けて練習に励む北九州交響楽団の団員たち
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 今年創立60年を迎えた北九州の市民オーケストラ「北九州交響楽団」(北九響)が、14日にアルモニーサンク北九州ソレイユホール(小倉北区)である第120回定期演奏会に向けて練習に励んでいる。節目の演奏会には、ゆかりの有名指揮者と演奏家の2人を招き、大作に挑戦する。事務局長の大庭三紀さんは「北九州に根ざして60年。技術的にも円熟期に入り、集大成を披露したい」と話している。

 4日午後7時、同区の北九州市立大手町練習場で毎週木曜日の練習は始まった。会社員や主婦などの約60人が息をそろえて演奏する。「テンポの引き締めは意識して。のんびりしすぎている」。団員たちの間で厳しい言葉も飛んだ。

 団員たちの練習に熱が入るのは、客演の2人の存在が大きい。指揮者を務める湯浅卓雄さんは、1981年から83年まで北九響の常任指揮者だった。現在では、国際的に活躍する指揮者である湯浅さんは「2年でマーラーを演奏する」との目標を立て、楽団を引っ張った。曲の構成が複雑で高い技術が要求されるマーラーの曲を通して、北九響の技量を引き上げた。

 バイオリニストの篠崎史紀さんは、中学1年生だった75年に北九響に入った。高校生の78~81年には、コンサートマスターを務めた。現在はNHK交響楽団で「N響の顔」として、日本を代表するバイオリニストの一人だ。2人の“里帰り”に「成長した北九響の姿を見せたいという団員もいる」と大庭事務局長は力を込める。

 楽団の沿革などによると、北九響は58年創立。きっかけは、八幡製鉄所を舞台にした同年の映画「この天の虹」(木下恵介監督)だった。音楽会のシーンのエキストラが意気投合し、それぞれが所属していた楽団が統合して誕生した。64年には楽器の倉庫が火災に遭い、多くが焼失。寄付で危機を乗り越えた。市民とともに歩んだ60年間だった。

 篠崎さんは、北九響の60周年記念誌のために「音楽の我が家 北九州交響楽団」と題した文章を寄せた。その中で、北九響から「人としての思いやりや、他人への配慮」などを学んだと紹介。「人に伝える演奏のすばらしさをこの北九州の地で続けて」と呼び掛けている。

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■120回目の定期演奏会

 北九州交響楽団の第120回定期演奏会は14日午後3時から、小倉北区のアルモニーサンク北九州ソレイユホールで開かれる。指揮者に湯浅卓雄さん、バイオリンにNHK交響楽団のコンサートマスターで知られる篠崎史紀さんを迎える。

 曲目は、ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」、国内で演奏される機会は少ないというブルッフの「バイオリン協奏曲第2番」など。チケットは一般前売り1300円、学生800円。

 北九響事務局=093(533)3456。

=2018/10/10付 西日本新聞朝刊=

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